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Vol.027 ■ ゆっくり話せば

「君が今、ロンドンの街中に立って、傍にいるイギリス人にいきなり話しかけたとしよう。かなりの確率で"Sorry?"と言われるだろう。でも、ここ香港で西洋人に話しかけたらそうは言われないだろう?」。英語の個人教授を受けているイギリス人の先生に、移住に向けて英語の試験を受ける旨を伝えると、いきなりこう切り出されました。

突然の核心に迫るご指摘。まさに、その通り。ニュージーランドの旅行中も似たような経験を何度かしました。「それは聞く方がネーティブ以外の話す英語に慣れているかどうかの違いなんだ」。ふむふむ。確かにモーテルのオーナーとはけっこう世間話で盛り上がったりしたっけ。でも、それと試験とどういう関係?

「会話にはコツがあるってことだよ」と、聞き捨てならない一言。「ゆっくりしゃべること。それがコツさ」。う〜ん、なるほど。「早く流暢に話しても相手に通じなければ仕方がない。それよりもゆっくり話して伝えたい内容をなるべく分かってもらうことが先決だ。ゆっくり切り出せば相手の返答も自然にゆっくりになるから、話を聞き漏らさないというメリットもあるし」。確かにこれは言えています。

NZ移住希望者が避けては通れないIELTS(International English Language Testing System、国際英語能力テスト)というテストは、30分のヒアリング、1時間ずつの読解と筆記、試験官との15分の会話からなっています。9点満点のうち5点を獲得しなくては申請資格が得られません。「読解もヒアリングもいまさらどうなるものでもないだろう。ゆっくり話して会話でポイント稼ぎかな?」と、さっそくその気に。

当日。ほとんどが留学目的と思われる学生に混じって、朝からお受験。午後4時にやっと回ってきた会話の試験は優しそうなオージーの女性面接官でした。「でも、どうしてNZなの?」という質問に、「それはですね〜」と始まったとたん、語っても語っても語り尽くせないNZの魅力が次から次へとペラペラペラペラペ〜ラペラ・・・。結局、先生からのコツの伝授などどこ吹く風。早口&ブロークンで、しゃべりにしゃべって時間目いっぱい。どうなることか?試験結果は2週間後です。

西蘭みこと