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Vol.0168 「生活編」 〜働くキンちゃん〜

何年か前の話ですが、仕事が立て込んでかなりキテる時がありました。そんな時に女友だちから電話が入り、突然、「腸洗いに行こう!」ということで話がまとまりました。臓器を洗浄してしまうなんていかにも西洋的で、普段の私の好みではありませんが、その時ばかりは「故ダイアナ妃も、スーパーモデルのナオミ・キャンベルも、ハリウッド女優もハマって、みんなキレイになってるって言うじゃないの?Why not us ?」ってなノリで、即決行!

その結果、世にも不思議な体験をしましたが、詳しいことは別の機会に譲るとして、その時サロンで受けた説明が印象的でした。曰く、人間の腸には本来、「善玉菌」と「悪玉菌」が7:3の割合で住み着いているとのこと。「善玉菌」は消化を助ける整腸作用がありますが、「悪玉菌」は役立たずで栄養を横取りするばかり。ところが、近年の食物は農薬や鉱物などで汚染されており、働き尽くめで弱った「善玉菌」が「悪玉菌」に淘汰されつつあり、割合が3:7かそれ以下に逆転しているというのです。そのためにお腹が弱くなったり、肝臓の負担が高まったりで、体調不良や病気の原因にもなっているということでした。

では、どうすればいいのか?「そこで、腸洗い!」という訳です。3回の洗浄で腸を完全にキレイにして菌を流してしまった後、「善玉菌」を腸に植えて繁殖させ、元来の7:3の比率を取り戻して肝臓を助け、キレイに元気になりましょう!ということなのです。私が解せなかったのは、「善玉菌」を繁殖させるくだりです。どうやって入れ、どう定着させるのか?一応、説明はありましたが今ひとつ説得力なし。「もちろんビフィズス菌など生きたまま腸に届く菌を飲むのも手です」と言われ、そっちの方がよほど納得がいきました。

今年初め、思いがけずに友人から噂のカスピ海ヨーグルトを分けてもらいました。このヨーグルトの起源は、京都大学の家森教授がカスピ海沿岸で調査を進めていくうちに、100歳を超える老人がピンピンしている村に行き当たり、長寿の秘訣が毎日大皿一杯食べる自家製ヨーグルトではないかと察しをつけて分析のために持ち帰ったものとされています。作り方は簡単で、普通の牛乳とカスピ海ヨーグルトを約5:1の割合で混ぜ合わせ一晩常温で置くだけ。朝になると、あ〜ら不思議、全部プルプルのヨーグルトになっています。

私は元々、大のヨーグルト好きで、特にまったりとした濃い味が好みです。カスピ海ヨーグルトは酸味も強く、生き物らしく生臭くさえある独特の匂いと味を持ち、最初からぞっこんでした。白いトロトロを飲んでいくと、ヨーグルトが通過する五臓六腑が喜んでいる気さえします。実際に整腸効果は抜群で、「やっぱり菌は植えるんじゃなくて、毎日補給してあげなくちゃ!」と、あれきり一度も行かなかった腸洗いを懐かしく思い出しています。

私はこの小さな働き者がいとおしくて仕方なく、「キンちゃん(菌なので)」と命名し、ネコに次ぐ第二のペットとして可愛がっています。このペット、飲んで良し、食べて良し、調理して良しと変幻自在。しかも飲んだ後、身体の中でも生きていてくれると思うと可愛さ百倍。毎朝、キンちゃんを作っている牛乳パックを開けて、ちーんとお澄まししながらかしこまっている姿を見るにつけ、「よしよし、エラいね、キンちゃん♪ 今日も上手にできたね」と、思わず声をかけてしまいます。頭があるならなでてやりたいくらいです。

そんな時、別の友人から垢すりが有名な韓国エステでは、ヤクルトを全身に塗りたくってパックの代わりにしているという話を聞き、「生きた菌が必要なら、そんな砂糖入りのベタベタじゃなくキンちゃんがいるじゃないの!」と、突然「キンちゃんパック」を思い立ち、いきなり顔に塗ってみました。乾くとパリパリしますが、あまり突っ張り感はなく、後は洗顔剤で洗い流して(お湯だけだと乳臭いです)おしまい。やってみて腰が抜けるほど驚いたのは、本当に肌がしっとりとするばかりでなく、ものすごく美白効果があったことです!

美白と言えば、かつてはたいして効きもしないのに一万円近くする化粧品を惜しげもなく使い、有名メーカーの一回一枚1600円のパックも使っていました。しかし、キンちゃん効果はそれをはるかにしのぐものです。特に子供と泳いで焼けた後は必ずキンちゃんのお世話になり、効果てきめんです。朝食のコップに残ったわずかなキンちゃんを指先でちょんちょんと頬や鼻に塗ってしまいます。昼間はまったく一人の身。白い鼻のまま鼻歌まじりに食器を洗ったり掃除機をかけたりしていても、誰の迷惑にもなりません。

「顔に効くなら・・」と、今度はヘアパックに挑戦。乾いた髪にキンちゃんをたっぷり塗り、ホテルに置いてある使い捨てのシャワーキャップを被ります。あまり人に会いたい姿ではないので、やるのは夫が出張中の夜だけです。これも翌日に髪が驚くほど滑らかくなり、ブラシの通りも変わります。効果がしばらくもつのも、顔の美白同様にウレシイところ。その延長で足パックも試しました。よく塗ってからラップでグルグル巻きに。これもかかとなど乾燥した部分にはばっちりでした。次はひじ・ひざに挑戦したいところ。飲んで良しに加えて、塗って良しの万能ペット・キンちゃん。これからもヨロシクね♪

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「マヨネーズ」 返す返すも「今までの化粧品代は何だったんだ?」と思いますが、化粧を止めた現在、これ以上無駄遣いをしないことで溜飲を下げることにします。いずれにしても、昨今の猛烈なコスメブームは峠を越えた気がします。顔の吸収力から言っても、費用対効果から言っても、これ以上の"上乗せ"は限界を超えるものに思えます。散々やりつくして化粧で化けることへの新鮮味が自他ともに薄れてくると、あとに残るのは化粧品代への負担と塗ったり取ったりの面倒くささだけ。そして最後に向き合う、素顔の自分。生涯で、今の自分の顔が一番好きです。

西蘭みこと