「西蘭花通信」Vol.0731 経済・生活編 〜銀行行って褌を借りよう〜 2017年7月16日 ハワイへの不動産投資を検討し始め、気心知れた友人知人に、 「ハワイにコンド(ミニアム)を買おうかと思って。」 という話をすると、だいたい二通りの反応がありました。ひとつは、 「よくそんなお金があるわね」 「金持ち〜」 といったもの。もうひとつは、 「ハワイとNZのどっちでローン組むの?」 「利回りは?」 といったもの。前者は投資をしない人、後者は投資をする人。同じ行動に対して、こうもはっきりと反応が分かれるのは興味深く、中間というものはないようです。 物を買うには、コーヒー1杯、大根1本でもお金が必要です。しかし、買い物の中でも最も高額な不動産となると、お金がなくても買えるから不思議です。NZの場合、十分な担保を差し出せば自己資金を使わなくても借金で不動産が買えます。私たちは5年前に自宅を担保に、一銭も使わずに借家を購入しました。買った不動産もまた担保になるので借金の余力ができ、さらに「次の一手」を考えることができます。投資をする人はこの点を承知しており、間違っても「よくそんなお金があるわね」とか「金持ち〜」とは言いません(笑) 借金は他人資本とも言われます。自己資本の対極にあるものです。銀行から融資を受け投資行動に出ることは、「他人の褌(ふんどし)で相撲を取る」ようなものだと思っています。この諺には非常にネガティブなニュアンスがあり、「人のモノを利用して、いい思いをしたり利益を得たりする」という意味合いではないでしょうか。「ちゃっかりしている」「図々しい」「ズルい」といった、非難とやっかみの混じった表現だと思います。 では、褌(資金)を借りるのにお金(金利)を払ったらどうでしょう?借りるために相応の対価を払い、その褌を締めて(!)相撲(投資)を取ったら?それは紛れもない商行為であり、ちゃっかりでもズルくもないはずです。そもそも銀行の収益の柱は資金を貸して金利収入を得ることで成り立っています。さらに自分が使わない褌を預けにくる預金者には利息を払わなければなりません。借りる人や企業がなければ事業として成り立ちません。 紛れもない商行為であっても、多くの国や人々の間で、借金は大っぴらに語るものではなく、できたら隠しておきたいもののようです。「あの人には借金がある」という一言は、どれだけ重く暗く響くことか。「なんとか借金しないでやりたい」という点にこだわる人も多いでしょうが、「借金してでもぜひやりたい!」という人もいます。そこにはネガティブなニュアンスはなく、この差はどこから来るのか? 思うに、投資という相撲の取り方を知っているかどうかなのではないでしょうか。相撲を取らない人には理屈抜きで貯金は『善』、借金は『悪』と映るようです。その流れでいけば「カネもないのに借金してまで不動産を買うなんて」となります。逆に相撲を取る人には、今のような低金利下では貯金は利回りが最も低い『悪』であり、借金は返済の目処がつく限りは、より高い利回りが狙える『善』となって、話が全く逆なのです。両者の溝はそう簡単には埋まらないため、私は人に投資を勧めたりはしませんが、自分たちがしていることに後ろめたさもなく隠しもしません。他人の褌、上等です! 今月初めのハワイ滞在中に、友人からひょこっと「たまには電話で話さない?」というメールが入り、実はかくかくしかじかでハワイに居ると伝えると、「ぜひ話を聞きたい」という返事が来て、NZに帰ってからじっくり2時間話し込みました。彼女も果敢に相撲を取る人なので、 「ハワイとNZのどっちでローン組むの?」 「利回りは?利回り保証はあるの?」 「非居住者への特別な税金は?」 「売却のときの手数料は?」 「不動産エージェントはどうやって見つけたの?」 と的を得た質問がピンポイントに出る出る〜(笑) 購入する前から売却を想定しているところが、実にリアルな投資家です。自宅なら一生住むつもりで購入することも多いでしょうが(NZでは習慣的にその限りではありませんが)、投資となれば想定外な事態や、別の投資に向けていつでも資産を売却できる流動性が非常に重要になってきます。投資の「出口」は「入口」並みか、それ以上に大事です。さすが友人、30代から1人でコツコツ投資を始めた経験からその点はしっかり押さえてきました。 私たちは手続きが簡単なことからNZでローンを組みました。利回りは目標8%以上で、利回り保証はもちろんありません。全てのリスクは自分たちで背負っています。非居住者への特別な税金というものはなく、非居住者として特に不利になる点も見当たりません。売却時の手数料は物件価格の6%で購入時の手数料はありません。エージェントは飛び込みで話を聞いた不動産屋のアドバイスがあまりにも的確で、お互い意気投合したため、彼を通じて購入しました。これが質問への答えです。 7月7日の購入日当日から、部屋に宿泊客がいる限り宿泊料が入ってきます。マネジメント会社による集計は月1回なので来月中旬まで金額はわかりませんが、毎月25日には諸経費を差し引いた収入が銀行口座に振り込まれます。零細在宅自営業者に、「給料日ができた!」 と夫婦で大喜び。 借金の返済もすでに始まっており、しばらく為替からも目が離せません。予約状況で「満室」サインが出れば自分たちの部屋も埋まっていることになるので、ほっと胸をなでおろします。今はネットで予約を確認するのが、密かな愉しみになっています。(北半球の夏休み入りで満室の日も♪→) =========================================================================== 「マヨネーズ」
初めてハワイという場所を訪れて驚いたのは、NZと共通することの多さでした。ハワイ語とマオリ語の似ていること! NZ、特に移民の多いオークランドはハワイとオーストラリアを足して二で割ったような太平洋文化圏なんだと改めて感じました。 西蘭みこと ホームへ |