「西蘭花通信」Vol.0718 スピリチュアル編 〜夢日記:どちらの国ですか?〜    2015年11月1日

初夏を思わせる日差しの中、私は夫と思われる誰かと海が見えるカフェでブランチをとりながら寛いでいました。やや高台の店からはビーチが見えず、沖合いにある山でできたような三角の島が目の前に迫るようでした。オークランドで言えばミッションベイから見たランギトトと言った構図ですが、島は泳いで渡れそうなほど近く、カフェからは見えないものの土橋で陸地とつながっていそうでした。小一時間もあれば一周できそうな大きさで、木が茂り、実際とは違うもののNZ北島東部のマウント・マウンガヌイにいる気がしました。
        
その時突然、島の中央の山頂が噴火を始めました。カフェの客や店の周辺にいた人たちが一斉に見上げています。音もなく水蒸気が出てくるだけで、なぜか「危険はない」と感じました。それは他の人も同様だったようで、驚きながらも誰も逃げようとはせず、珍しい光景を見つめているばかりでした。しばらくすると火口から泡立てたクリームのように白っぽいものが、歯磨き粉でも搾り出すように行く筋にもなって山肌を流れてきました。      (イメージとしてはこんな場所→)

「逃げたほうが良さそうだ。」
その時になって私は初めてそう感じ、席を立ちました。流れ出てきたものは溶岩流のようですが熱そうではなく、島とカフェの間には海があるので、噴出さない限り高台のここまで流れてくるはずはなかったのですが、柔らかく粘着力が強そうな得体の知れない物質が薄気味悪く、さらに高い所へ逃げることにしました。

カフェを飛び出すと、目の前は一直線に高台へ延びる立派なアスファルトの車道でした。どこに続いているのか上が見えないほど急な坂で、クルマで上るのも大変そうな傾斜でした。道にはクルマの往来がまったくなく、避難を始めたのかたまたま歩いていたのか、4、5人が話をしながらゆっくり坂を上っていくのが見えました。

「あの"白いマグマ"がこちら岸まで到達したら、この坂道の下に溜まって押し上げられ、道を遡上してくるかもしれない。」
と非理論的なことを理論的に考えつつ、脇道から行くことにしました。ちょうど裏手には車道と平行する細い急な上り坂があり、両側が家になっていました。通りには人っ子一人おらず、
「こっちから行こう!」
と決めました。

気がついたら知らない家の中で、誰か若い女性と一緒にいました。女性は知り合いの誰かのようでしたが、声と気配がするだけで視界には登場しません。家は打ちっ放しのコンクリート造りの簡素なもので、ドアと窓、引き出しの付いた小さなチェスト、テーブルと椅子がなければ、ガレージと見まごうような場所でした。
「ここまで上って来たし、コンクリートの中だし、ここは安全かもしれない。」
と思い、唯一の持ち物だった財布をチェストの引き出しにしまい、椅子に腰掛けました。

しかし不安は拭えず女性と相談して、もっと上まで行くことにしました。外の様子が分からないのでドアを開けるのは危ないと判断し、押し開けるタイプのガラス窓を押してみると、ぎりぎりで外に出られるぐらいの幅が開いたので、雑草の生えた庭に降り上に向かいました。窓から出るときに靴下が引っかかって脱げてしまい、チェストに財布を入れたままだったのに気づいたものの先を急ぐことにし、素足のまま小走りで上っていきました。

少し行くと
「警察だ!」
と思う数人が見え、近づいていくと救助活動をしている若い軍人たちで、みな薄いカーキ色の制服を着ていました。ここまで来ればもう安全で、この先のもっと上った所に避難所があることを知らされ、財布の話をすると取りに行くために付き添ってくれました。周囲には避難する人たちが三々五々坂を上っていましたが、思ったほどの人数ではなく、みな落ち着いていました。恐れていた"白いマグマ"は見えません。

私は上って来た細い道ではなく、幅の広い車道を軍人たちと一緒に下り、坂道の途中の赤いドアの家に入りましや。中は私がたった今までいた家で、チェストの中には自分で入れたプラダの財布(ここだけはなぜか実際の持ち物と同じ)がそのまま入っていました。ずっと私に付き添ってくれていたのか、家の中にいたのか、連れの女性に「あってよかったね」と言われ、私も緊張が解けるのを感じました。

次のシーンでは、四角いクリーム色の公民館のような建物が坂の上に見えて来ました。どうもそこが坂道の頂上のようでした。建物の前に出ると、観音開きのガラスの自動ドアの向こうにいくつか机が出ているのが見え、机には女性が1人ずつ座っています。入っていくと一番手前の机の短い金髪の女性が、
「どちらの国ですか?」
と声を掛けてきました。彼女の外見に、
「ヨーロッパの人だな。」
と思いながら、
「ニュージーランドです。」
と答えると、彼女は座ったまま左後方に身を引き、「あちらです」という仕草をしました。

NZの机に行き、別の女性がファイルを取り出して手続きをしていると、奥の部屋から女性数人の大きな笑い声が聞こえてきました。聞き覚えのあるボランティア仲間の声で、リーダー格のケイトの声をどっと湧き起こる笑いの輪が飲み込み、ボランティア先の休憩室そのままの雰囲気が手に取るようにわかりました。手続きを待ちながらも、安堵と今にも笑いの輪に飛び込んで行けるという嬉しさでニヤニヤが止まりませんでした。

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「マヨネーズ」

「天国への階段」ならぬ「天国への坂道」なのか?聞き覚えのある仲間の声は先に逝っていたから?みんな20歳ほど年上なので、私がしんがりか(笑)?いつもは夢の中でも夫が一緒か、家に帰ろうと焦って目が覚めることが多いのですが、今回は違いました。不思議なことに数日前に財布を失くす夢を見たばかり。今回は見つかりました。

西蘭みこと 

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