「西蘭花通信」Vol.0715 NZ・生活編 〜コミュニティーとともに〜            2015年5月31日

朝起きたら雨でした。ここ最近は仕事で家に缶詰だったので、晴れたらどこかウォーキングにでも行こうと思っていましたが、雨となったら予定変更。シャワーを浴びて、コーヒーを一杯引っかけ、そそくさとボランティア先のチャリティーショップへ。

ボランティアを始めて今年で早9年め。店がオープンした直後に働き始めたので、かなりの古参になりました。今日は三連休の中日。きっと何人かのボランティアが休み、いつもにも増しててんてこ舞いのはず。普段は日曜日に手伝いに行くことはほとんどないものの、今日に限っては応援に行ってみました。

「来たのねー。よかった、よかった。忙しいわよー」
「お昼にローストチキン買ってきたから一緒に食べない?」
「Tシャツのラックがパンパンだから、ラックを2つに分けてくれる?」
仲間やマネージャーから次々に声がかかり、案の定ボランティアは数えるほどなのに、お客は大勢います。休みの日らしく家族連れも多く、夏服の一掃バーゲン中だったこともあり、いつもの週末にも増して賑わっています。

ガラクタだと思えばただの不用品。お宝だと思えば、見方も違ってきます→

「袖なしの服は全部こっちにまとめて。」
「ここから半袖のTシャツだけ抜き取って、特価品コーナーに移動させて。」
と、私も新人ボランティアたちに指示を飛ばしながら、商品のレイアウトを変えたり、在庫の確認をしたりと店内をグルグルグルグル。途中途中で仲間やお客に声をかけられます。
「これはどこに並べればいい?」
「値札がないけど、このオモチャはいくら?」
「これはバーゲン対象品?」
「マネキンの服が売れて素っ裸になってる!」

顔見知りのお客には特に声をかけたり、かけられたり。持病のある人に、
「最近はどう?今日はずい分、顔色がいいじゃない。」
と声をかけると、
「痩せちゃってズボンが8号(XS)になっちゃったの。8号ってあまりないのね。」
というので一緒に8号を探しながら、病状の話や食事制限の苦労を聞きました。

いくら大きくバーゲンのことが書いてあっても、英語となるとからきし目に入らない人もいます。いかにも英語を介さなそうな中国人老夫婦に、念のため今日の特価品を中国語で伝えると、驚いたような表情を見せ、それはそれは丁寧にお礼を言われました。可愛い赤ちゃん連れの黒人男性と話したら、赤ちゃんは今日がお誕生から満8ヶ月でした。どっちの服が似合うか決めかねている人には、
「どっちもお似合いじゃないですか。チャリティーなので、ぜひここは両方とも!」
と背中を押し、両手に持ちきれないほど商品を抱えた人には買い物かごを差し出し・・・・こうなれば半日など瞬く間に過ぎていきます。

移住10年目にしてやっと実感してきた、コミュニティーという言葉。最初の頃は、いつでもどこでもやたら耳にするコミュニティーという言葉になかなか馴染めませんでした。
「それって、ご近所付き合い?いや、ママ友とか子どもがらみの学校や習い事関係のお付き合いのこと?」
とも思っていましたが、キウイは大の引越し魔。家を買った売ったと言っては引越し、オーストラリアでいい仕事があると言っては引越し、持ち家でも借家でも出入りが激しく、近所にコミュニティーという一体感を感じたことはまずありません。子ども関連は、子どもが学校を卒業したり習い事を辞めてしまえば、親同志はほぼそれまでです。

しかし、ボランティアだけは同じ場所で長く続けているせいか、私にとってコミュニティーを実感できる場となりました。知らない同士の中に顔なじみが交じり、初めての人でも目が合えば会釈をし、ごく自然に会話が始まることもあります。
「引っ越したばかりでハウスウォーミング・パーティーをするから、明るい色のテーブルクロスとドレスっぽい服を探している。」
という『お題』が出れば、それに合わせて「これは?あれは?」と商品を探してきては手伝い、翌週に再び顔を合わせれば、
「ハウスウォーミングはどうだった?」
「あのドレス着たのよー。なかなか評判良かったわよ。」
と話が弾みます。  

なんとも居心地のいい、付かず離れずのコミュニティー。他人以上知り合い未満のゆるい親しみ。「寒いわね」と言えば、「まだ5月なのに」と他人同士でも餅でもついているように息が合ってきます。お客が探していたものにドンピシャリなものでも見つけて来ようものなら、
"Thank you! You just made my day!"(ありがとう。おかげでいい日になったわ)
と最上級の褒め言葉。

今日5月31日は私たち西蘭一家にとり、2004年のこの日にロングターム・ビジネス・ビザ(LTBV、いわば起業家ビザ)を取得し、翌2005年には永住権を取得した二重の記念日です。こんな日だからこそ、コミュニティーのために目一杯働いてささやかな恩返しができたのは幸いでした。"Thank you! You just made my day!"とは、まさに私からコミュニティーに贈りたい言葉です。

5年前の今日配信したメルマガでは「これからの5年間もまた、笑いの絶えない明るく楽しい心穏やかなものでありますように」と言っていましたが、まさにそんな日々が続きました。これからもまた、そんな日がいつまでいつまでも続いてくれるよう祈りつつ、社会の一員としてこの地にしっかりと根を下ろして生きていきたいと思います。

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「マヨネーズ」

忙しい中でも何百点という商品に触れるので、たまたま探していた物、好みの物との遭遇率は高いです。今日は気に入ったビンテージ風の鏡を買いました。風水対策に仕事部屋に掛ける鏡を探していたところで、こんな記念日の出会い、大事にします。

西蘭みこと 

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