「西蘭花通信」Vol.0710 スピリチュアル編 〜夢日記:帰り道〜 2015年4月9日 場所は日本のようでした。私は高校時代に仲が良かった中島けいちゃん(ナカケイ)と話をしていました。彼女はサラサラの髪を斜めに分け、前髪が落ちてこないようにピンで留めた高校時代と全く同じ髪型でした。 「加藤さんに会いに行かなきゃいけないんだけど。」 と言っています。 加藤さんは私の知り合いではなく、私は別の人に会いに行くところでした。 「すぐ近くだから一緒に行こうよ。」 というナカケイの誘いを内心不承不承で受け、一緒に出かけました。気乗りがしなかったのは、私が運転しなければならなかったからです。全く運転したことがない狭くて複雑な日本の道、しかも私は普段からあまり運転する機会がなく、病的な方向音痴でもあります。クルマは香港から持ち込んだ今はなき愛車のSAABでした。 なんとか目的地につき、シャッターが開いた町工場のように見える駐車場にクルマを入れました。無事着いたことで私は十二分にホッとして気もそぞろでした。どこでナカケイと別れたのか、いつの間にか1人で目的の人を訪ねて行くところでした。 一見なんの施設なのか分からない、ガランとした倉庫のような建物の受付で彼女のことを尋ねると、隣にいると知らされました。すぐ裏手の古びた建物のドアを開けると、目の前の長テーブルに7、8人の人が向き合わせで座り、昼食の最中でした。意外な光景に一瞬怯むもののテーブルの中央に見知った顔を見つけ、近寄っていきました。 ![]() 「言ってなかったけど、私はカトリックなの。だからこっちの方があってるのよ。」 と、唐突に言いました。 (私たちのオフィスがあったグロスタータワー。下はランドマークです→) どうもキャサリンと私は同じ場所でボランティアをしていたようで、なにかのトラブルで辞めていったキャサリンを、私が戻るように説得に来たという場面でした。彼女が食事をしていた場所は教会系の施設で、そこで新たなボランティアを始めているので戻る気は全くないという返事でした。彼女の表情が清々としていて、仲間に囲まれて食事をしている様子をみて、私はそれ以上説得することを諦めました。 同僚だった頃のキャサリンはいつも1人でした。誰も彼女とはランチに行かず、仕事以外で口を利くこともまれでした。特に何かがあったわけではなく、とっつきにくい印象が彼女の周りに高く厚い壁を作っていました。ディーラーだった私は彼女に最も近い仕事をしていたので、仕事にかこつけては立ち話をし、年に数回とはいえどもランチに誘っていました。善人ぶるつもりはありませんが、職場に気まずい雰囲気が流れることは公私ともに望むところではなく、彼女の壁に小さくても風穴を開けておきたかったのです。 でも今の彼女は違います。一緒に食事をする人がいて、居心地も良さそうでした。当時は自然に身についた自衛策だったのか、いつもポーカーフェイスで冷たい印象や言葉遣いを全く憚らない人でした。今はぎこちないなりに笑顔がありました。食事時にのこのこやってきた私をやや迷惑そうに見下す視線は当時と変わっていなかったものの、彼女にはこの場所の方が合っているのは一目瞭然で、私は静かに引き下がりました。 どうやって辿り着いたのか、次のシーンで私はナカケイと一緒にビルの4、5階にあるバルコニーのような場所にいました。 「帰ろう。」 と言うと、 「まだ加藤さんに会ってないから、クルマで下に迎えに来て。」 と言われました。眼下は大規模な工事中で、どこかの駅前にバスターミナルやタクシー専用進入路を建設しているようで、アスファルトのない剥き出しの土に建機の通過した跡が行く筋もついていることで、かろうじて道のようにみえます。 「ここってどこなの?」 と聞く私に、 「四谷よ。」 とナカケイが事もなげに答えました。 「ここが四谷?」 私は言葉を失いました。私が知っている30年以上前の新宿西口を一回り小さくしたような場所に見えました。 「無理だ。自分がどこにいるのかもわからないのに、こんな道もない場所にクルマを回してくるなんて、私にはできない。」 心臓がドキドキし始めるのがわかりました。 気がつくとナカケイの姿はなく、加藤さんの所に行ってしまったようでした。その時、 「どうしよう。どこにクルマを停めたのかわからない!」 と気づき、心臓が口から飛び出しそうになりました。思い出せるのはシャッターが開いた町工場のような入り口だけで、あれがどこだったのか、どうやってあそこまで戻るのか見当もつきません。ナカケイをここまで迎えに来るどころの話ではありません。 「どうしよう、どうしよう、どうしよう・・・・・・」 目が覚めた瞬間も心臓がバグバグしており、疲れてぐったりでした。私の夢は帰り道に迷ったり、どこからか辛くも戻る危機一髪で終わる夢が多いです。極度の緊張で目が覚めてしまうようです。寝ている間に身体を抜け出した魂の大冒険を裏付けるような話ではありますが、寝起きの悪さは天下一品(笑)その分、 「あー、夢でよかった!」 と胸をなでおろすことになるのですが、なにもあそこまで追い詰められなくても、とも思うのですが。 (不定期でつづく) =========================================================================== |