「西蘭花通信」Vol.0701 生活編 〜一期一物モノロジー〜                 2014年7月11日

一期一会があるのなら、一生のうちに、「これぞ!」と出会うモノもあるのではないかと思います。その時に出会ってこそ価値を持ち、その後の生き方に大きく影響を及ぼしたモノ―― 大切で忘れられない、今の暮らしにまでつながっているモノについての呟きです。

10歳まで:
「シートン動物記」 
確か小学校3年生のクリスマスに父がプレゼントとして買ってきました。 「オオカミ王ロボの話が有名なんだが、第1巻が売り切れていたから。」 といって第3巻を買ってきました。8歳だった私は「伝書バト・アルノー」を始め、さまざまな生き物がまるで人間のように考え、行動し、生き抜こうとする姿に深く深く感動し、それまでの価値観を根底から覆される想いでした。私の動物好きの原点となった本です。
(シートン動物記は今でも次男・善(17歳)の部屋にあります。本人は手に取ったこともないと思いますが^^;→)

「広辞林」 
多分、小学校4年生の時に学校で辞書の引き方を習い、どの言葉の意味でも見つけられることがゲームのように楽しく、辞書を引くことに夢中になりました。直に小学生用の辞書には載っていない言葉が増え始め、
「もっといい辞書がほしい。」
と父に言うと、
「広辞苑というのが一番いい辞書だ。」
と教えられました。

正月明けにお年玉を持って父と本屋に出向くと、広辞苑と広辞林がありました。広辞苑は確か3千円、広辞林は2千円でした。9歳の子どもにとって千円の違いは大きく、辞書の厚みも同じで、ブランド力の違いを知らなければ、なかなか承服しがたい差でした。父に聞いても、お店の人に聞いても、
「中身は一緒。」
と言われ、三省堂の「広辞林」を買いました。もうボロボロですが、今でも持っています。

10代:
「合格通知」 
高校受験、大学受験と10代で手にした合格通知は、地味な努力への確実な結果として、努力を尊ぶその後の生き方の起点になったと思います。マイペースで何でも自己流の私は塾や予備校にも行かず、1人でコツコツやる方でした。どちらも第一志望校に進学でき、その成功体験が自己流の生き方に弾みをつけた可能性があります(笑) 

「パスポート」 
18歳の未成年だったので親の判子が必要で、親と大もめになったパスポート取得。最初に取ったのは一次旅券で大学1年の夏休みに複数の大学の学生と、まだ文革の面影の色濃い中国へ行きました。当時は個人旅行が解禁されておらず、現地での自由も制限され、観光先の一部も中国側が決めるという不自由なものでしたが、初めての海外経験を経て、行き先はわからないものの、自分の将来が海外にあることを確信しました。

20代:
「就労ビザ」
「25歳からは働こう。」
と漠然と考えていたとおり、25歳の誕生日直後から香港の広告代理店で働き始めました。初めて手にした就労ビザ。その時点で海外暮らしは3年が経過していましたが、正式に働ける資格を得たことで、海外生活が一段上に上った気がしました。

「シャルル・ジョルダンの靴」 
働き始めて早々に思ったのが、
「いい靴がほしい。」
でした。疲れない、靴づれしない、信頼できる靴。その結果が当時のシャルル・ジョルダンでした。パリで暮らしていた時、パリジェンヌが生足にパンプスで石畳を闊歩しているのを見て驚きましたが、シャルル・ジョルダンは買った日から素足で履ける靴でした。価値ある物なら出費を惜しむべきではない――ブランド品との本格的な出会いの始まりでした。

30代:
「家」 
結婚して1年目の30歳のときに、シンガポールで3部屋のマンションを買いました。あれが今に続く不動産投資の出発点でした。物件を探し始めた時、私は29歳、夫は25歳でした。
「この歳でローン地獄は嫌だ。」
という夫を、それがいかに「ローン天国」なのか説得するのに時間がかかりましたが、「30歳までに家を」という希望が叶いました。

「香港永住権」 
夫の転勤で独身時代に続いて2回目の香港暮らし。就労ビザが連続7年継続すると、永住権申請資格ができ無事取得しました。就労ビザからさらに一段上の段階に入り、行き先はわからないものの、漠然と一生住む永住先を考えるようになりました。

40代:
「NZ永住権」 
39歳でNZ移住を決意、42歳で移住、43歳で永住権取得。22歳から始まった海外放浪生活も、いよいよ碇を降ろす場所と時期を迎えました。この分で行くと、NZは終の棲家となることでしょう。次は国籍取得か、墓地購入か(笑)?

「ニュージーランド移住記録」 
40代で得た物は多々あれど、一つに絞るとしたらこの「ニュージーランド移住記録」でしょう。この場を得たことで私の記録魔ぶりが花開いたというか、暴走し始めました(笑) 今でもメルマガ「西蘭花通信」以外にも、ブログの日記「さいらん日和」「さいらんガーデン」の2本を続けています。

50代:
「借家」 
まだ始まって2年半の50代ですが、50歳で購入した借家は間違いなく、50代の一期一物になるでしょう。まだまだ借金の塊のカネ喰い虫ですが、明るい老後(?)に向けてコツコツ資産形成に取り組んでいきたいと思います。

===========================================================================
「マヨネーズ」

どの年代も2つのモノがすぐに決定しましたが、40代だけは一瞬迷いました。
四十の手習いだった「運転免許」
今にも続く健康管理の基本となった「ハイテク体重計」(タニタのインナースキャン)
やや意外ながらも予想外の大活躍を遂げている「スティックミキサー」
香港からわざわざ持ち込んだ愛車「SAAB」
モノではないけれど、大正解だった「永久脱毛」「ヨガ」「レイキ」などなど。

今の焦点は完全に「物」より「経験」にシフトしています。

西蘭みこと 

ホームへ