「西蘭花通信」Vol.0695 生活編 〜走る人体実験:貯筋と体幹〜            2014年6月21日

「走る人体実験」シリーズ、3年ぶりの更新です。前回が5年ぶりだったので、
「だいぶ間隔が短くなったかな?」
なんて思うのは、書いている自分だけ! 超マイペースな「西蘭花通信」の超マイペース不定期連載です。開き直ってしまえば、
「なるほどー!!!」
と頭の中に電球が点るような変化が毎週毎月起きるはずもなく、ただただ黙々と走る中である日ふと、
「そうか、これか!」
という気付きがあるのです。

いつまでも覚えていられるようにと、2006年の44歳の誕生日から始めたご近所ランも8年経ちました。5年前の2009年に変形性股関節症を発症してしまったらしく、左側の股関節と大腿部の噛み合わせが悪くなり、以来ずっと違和感があります。発症当初の「痛くて歩けない」という事態は免れていますが、「左右が全く同じ」ということもありません。ただ、走ったり歩いたりは様子を見ながらする限り、特に支障はありません。

興味深いことに、股関節症を発症する数ヶ月前に、初めて身体の軸に当たる「体幹」という言葉を知りました。言葉は知らなくても発想はヨガと一緒でした。身体の軸がしっかりしていないと、様々なポーズはもちろん、立ったり座ったりという基本のキの姿勢から肝心な呼吸まで、全てに影響します。軸が安定するだけで、どれだけしっかり大地をつかむように立てるか、呼吸が深くなるかは、経験してこそわかるものです。

しばらくの間、金哲彦氏が提唱する体幹ランニングを意識しながら走ってみました。しかし、几帳面ではない感覚重視の私にしてはあまりにも決まり事が多く、姿勢は?角度は?丹田は?肘は?とチェックポイントを気にしていると、なんだか頭でっかちになりそうで、発想だけは頭に留めながら、細かい決まり事は忘れることにしました。

しかし、最近になってふと、
「体幹ができてきた?」
と実感するようになりました。簡単な例を挙げてみましょう。両足を肩幅ぐらいに平行に広げ、両手は自然に下げ、真っ直ぐ立ちます。頭は天上から釣り下げられている状態をイメージして首の裏を伸ばし、軽く顎を引き、胸を開き、肩の力は抜きます。お尻は軽く締めます。これがヨガの「山のポーズ」の基本形です(流派によって多少違いがあるかもしれませんが、詳しくはコチラでも)

立っているだけなのですが、身体の全ての部分がしっかりしていないとグラグラします。特に目を閉じて焦点を合わせられないようにすると、グラグラが増します。神経を足の裏に集中させると、重心が前後に移動したり足の外側に力が入っていたりします。しかし、1時間以上ヨガをして再び山のポーズをとると、指先の先端から踵までベッタリとかノッペリと言うべき感覚に重心が広がり、足の裏全体で立っているのがわかります。

何年もヨガをやってきましたが、最近は突然「山のポーズ」で立ってみても、スッとベッタリかノッペリになれるようになりました。首、肩、胸、腕、お腹、お尻・・・とパーツごとに意識しなくても、上半身がひとつにまとまって、足の裏全体の上に一つの固まりとして載っている感覚なのです。これが体幹なのではないかと思います。

走っている時も同様で、上半身をかなりまっすぐに起こして走れるようになりました。
「上半身は体重全体の6割もある重いものだから、下半身を鍛えてしっかり支えないと!」
と思ってきましたが、体重の6割もある重いものだからこそ、それ自体がしっかり立ってくれるに越したことはないのです。

子育てをしたことがある人ならおわかりかと思いますが、起きている赤ちゃんと眠っている赤ちゃんでは抱いたときの重さが全然違います。赤ちゃんの体重は変らないのに、自分で身体を立ててくれているときは、ずっと軽く感じます。体幹ができると、上半身が起きているときの赤ちゃんのようにしっかり安定するので、下半身の負担が減り、その分、腿が上がり、歩幅が広がり、スピードが上がるか、速度が同じなら疲れないということになるようで、これが一連の流れとして最近になって実感してきたことです。

「姿勢を良くしよう」とか「猫背を直そう」と思ってもなかなかそうならないように、「体幹を育てよう」と思っても思うようにならないのは、姿勢にしろ体幹にしろ、頭ではイメージできても、それを支える筋肉がないことには実現できないのではないでしょうか?フニャフニャした柔らかい物を真っ直ぐに保つよりも、それ自体が真っ直ぐな物を真っ直ぐに保つ方がいかに容易か。

前回2011年に配信した〜走る人体実験:貯筋と借筋〜では、
「身体を動かして得る筋肉は『貯筋』なのだと。貯金と同じで本人が溜めるしかないものです」
「では、勝手に付く脂肪はなにか?これは『借筋』ではないかと。失われていく筋肉に代わって、臓器が冷えないように、努力なしで身体がどんどん増やしてくれる便利なもの。しかし、お手軽な分リスクも高い代物です」
と書いていましたが、貯筋ができての体幹なのか。ヨガを始めて11年、走り始めて8年、体幹を知って5年目の実感です。

(さらに不定期でつづく)

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「マヨネーズ」

老後の貯金は移住と長男・温(20歳)の日本進学で使い果たしましたが(笑)、老後への貯筋はこれからもコツコツ続けます。女性は筋肉が細いのでそう簡単に増やせない上、40代を迎えると急速に減ってしまい、「待ってました!」とばかりに脂肪が台頭する踏んだり蹴ったり(涙)今の目標は筋肉量39kgの維持です。
(ランニングやウォーキングが続くのは、こんな風景のおかげもあります→)

西蘭みこと 

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