「西蘭花通信」Vol.0680  生活編 〜ブルースプリング・レポートVol.30:早起きはサーモンの得〜   
2014年4月8日


「早起きは三文の得!」と口走ったら、それを聞きつけた温が「何ソレ?早起きはサーモンの得って?」とマジで聞いてきました。がんばれよー、日本語^^
と日記に書いたのはちょうど10年前。移住した年のことでした。当時10歳だった長男・温は今年成人し、まさかの名古屋暮らしに、これまたまさかの名大生。やっと念願かなってNZでの生活を始めたばかりのあの頃に、10年後にこんな展開が待っているとは、誰が想像できたでしょう?何が起きるかわからないから、人生は面白い!

そんな温は春休み中の2月いっぱいを台湾で過ごし、夏休みに続いて2回目の中国語研修を受けてきました。毎週20時間のマンツーマンの授業をこなし、相当上達したようです。3月に帰ってきてからは、なーんとなんと留学生仲間2人と共同生活を始めました。NZ式に言えばフラッティング、日本式に言えばシェアハウス。3部屋のマンションを借りての共同生活です。日本に行ってから、留学生寮で半年、1人暮らしの下宿で1年、そして今回の共同生活。目まぐるしい変化ですが、順調な滑り出しのようです。

「思ったよりいい。いや、スゴくいいよ。」
というのが本人の感想。あとの2人はアメリカ人とマレーシア人で、入学以来の付き合い。フィリピン系アメリカ人はジム通いとムエタイで鍛えるムキムキの「筋肉バカ」(温談)。マレー系マレーシア人はややアバウトながらイスラム教徒で、ラマダンのときは日の出から日没までは断食しなければならないため、体育の授業でフラフラになってしまったという逸話を持つ人。

3人ともそれぞれの理由で酒を飲まず、食事は温が肉を一切食べず、シーフードと野菜命!マレーシア人はブタがご法度でマレーシアでは牛も食べない場合が多く、チキンや魚が無難。アメリカ人は何でも食べるものの誰かが作ってくれたら、例え肉がなくても「なお可」。別々に下宿していたときはしょっちゅう温宅で鍋かそうめんの夕べ、マレーシア人宅でカレーの夕べが繰り広げられていたので、これも
「いっそのこと一緒に住んじゃう?」
というきっかけになったそうです。

しかし、いざ3人一緒になってみると、意外にも全員ばらばら!温はまさにタイトル通り「早起きはサーモンの得」を地で行き、朝6時台には自転車で市場に新鮮な野菜や魚を買いに行き、そのまま英会話学校へ。ばっちりビジネススーツに着替えて、7時ジャストには、
「グッモーニン♪」
と個人授業開始。もうすぐ大学が始まるので、始まったら大学の授業時間に合わせてできるだけ教え、私服に着替えて帰宅。買った物を冷蔵庫に入れて、すぐ登校。あとの2人はジムへ行ったり、大学へ行ったり、寝てたり???

温は夕方に中学生の家庭教師がある日もあり、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。でも夕食は家で、朝の新鮮な食材でちゃちゃっと作っているようです。翌日も早起きなので10時頃には寝てしまうそうですが、その時点であとの2人が帰っていないこともままあり、
「何時に帰ってきているのかよく知らない。」
トイレに起きたら、マレーシア人が12時過ぎてから夜ご飯を作っているのに出くわしたり?!(笑)

英会話学校は出勤前に習いたい生徒さんも多く、7時台はいわば朝のゴールデンタイム。しかし、この時間から教える先生は少なく、朝を厭わない温は重宝されているようです。本人にしても夜の時間が自由に使えるので朝型は望むところ。このバイトを原資に年2回、できたら2ヶ月以上台湾で中国語研修を受け続けようという魂胆です。これも32年前の母が歩んだ道とまったく同じ。台湾は病みつきになる中毒性のある場所、台北は魔都なのか?(笑) 今のペースなら卒業までに完全にトライリンガルでしょう。

朝の英会話学校の他にムキムキのアメリカ人の紹介で、別の英会話学校でも教えることになり、こちらは日中の授業の合間合間に大学付近で個人教授をするんだそう。「連絡すればいつでもOK」という時間に余裕のある高齢者というありがたい生徒さんもいて、新学期が始まったら、
「えっ?休講!じゃ、バイトするか。」
というのもアリのよう。この生徒さんは「死ぬまでに英検1級合格」が夢なんだそうです。素晴らしい!

温曰く、
「生徒の9割はボクがマオリだと思ってる。」
先生のプロフィール欄が"from New Zealand"となっており、現われたのが身長190cm近く、体重(多分)90kg台の髭面の大男という点で、マオリを確信。
「どうしてあなたの姓は日本人みたいなんですか?ハーフですか?」
ならまだしも、両親ともに日本人だと答えると、
「日本人の養子になったんですか?」
と、まだまだ食い下がる生徒さんたち(笑) 

(ただ今ウィリアム王子とキャサリン妃(こちらではケイトですが)がジョージ王子を連れてNZ訪問中。マオリの戦士を前にケイトの視線がどこに行ってるかでマスコミは大騒ぎ?!→)

英会話学校は日本語禁止ですが、もしも温が突然日本語を話し始めたら、生徒さんたち、どうなるんでしょう?
「日本語も上手ですね。どこで勉強したんですか?」
でしょうか?生徒ウケにハカ(マオリのウォーダンス)を練習しておくべきか?

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「マヨネーズ」

家庭教師をしている中学生たちはメキメキ上達し、英検も次々にパスしているようです。逆に7、8歳だかのお子さんの親御さんに、
「英検2級に受かったので準1級を目指したい。」
と頼まれたのは断ったそうです。
「準1級になると、問題が『国連の国際貢献を説明せよ』とかになって、そんなの8歳の子にわかる?日本語だって説明できないでしょう?」
と、日本の教育ママの現実に驚いていました。でも、教育ママはムキムキのアメリカ人には厚い信頼を寄せているようで、仲間は教えに行っています。

その代わり、彼が紹介してくれた英会話学校の彼の生徒さん3人がすでに温に乗り換えてしまいました!生徒が先生を選ぶ厳しい世界。温にはCELTA(ケンブリッジ大学の英語を母国語としない成人向けの英語教師資格)がありますからね〜!

西蘭みこと 

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