「西蘭花通信」Vol.0673  生活編 〜アラフィフの不思議なカラダ:抗菌好菌〜    2014年3月15日

日経電子版にあった藤田紘一郎東京医科歯科大名誉教授の話を基に、3月7日に〜アラフィフの不思議なカラダ:腸で考える〜 を配信し、9日に話を外れて〜アラフィフの不思議なカラダ:54分の幸せ〜 を横入り配信した翌日、朝日新聞電子版で
『プロポリス、がんに効く』藤田名誉教授を書類送検」
の記事発見!このタイミングには、ビックリやら笑ってしまうやら。

薬効をうたって健康食品プロポリス(しかもこれってNZの名産!というオチ)の販売を手助けしたかどで、薬事法違反幇助なんだとか。「副作用なくがん細胞が自滅」だなんて、いくらなんでも無理!そんなに効いたら、キウイのがん患者がいなくなるでしょう(笑) NZも経済先進国の例に漏れず、立派な(?)がん大国です。

さてさて、そんなハプニングを乗り越えて前々回のつづきです。日経電子版にあった「50歳からの食事 脳より賢い腸に従え」(リンク切れご容赦ください) という記事の内容は4つに分かれ、
【腸のオキテ(1)】 幸せを感じさせるのは脳ではなく、腸
【腸のオキテ(2)】 本当は、腸は炭水化物を嫌がっている
【腸のオキテ(3)】 大きなウンコ、出てますか?
というところまできました。今回は最後の1項の話です。

【腸のオキテ(4)】 キタナイ生活をすれば腸はキレイになる 
これを額面どおり受け止めるかどうかは個人のご判断でしょうが、私は日本へ行くたびにありとあらゆる場所に「抗菌」という文字を見つけては、安心するどころかかえって不安に陥るので、個人的にはかなり額面どおりに受け止めてしまいます。

今どきの日本だったら家だけでなく、デパートだのレストランだの不特定多数の人が使うトイレもウォシュレット・タイプですよね?毎晩寝る前にトイレ掃除をする私にしてみれば、
「このウォシュレットの複雑な構造を、どうやって掃除するんだろう?」
と、気になって仕方がありません。どう考えても拭けない場所があるように思うのですが。さらに、
「こんな時期から?」
と思うほど暖かい時期でも便座が温まっており、サービスの一環なのでしょうが、菌の繁殖には持って来いの環境と温度。しかし、そこに貼ってある「抗菌」のシール!

「この抗菌は何を意味するのだろう?」
とトイレでつい考え込んでしまいます。出荷時の話なのか、こうして日々、何百人に何百回と使われていても「有効」な話なのか?後者だとしたら、どうやって雑菌にとって最良の環境の中でその効力を維持できるのか?なんらかの抗菌対策が施されているのでしょうが、使われている物資はほぼ化学物質と言い切っていいでしょう。これがサービスなんでしょうか?

あえて雑菌に良好な環境を作り出し、それを亡き者とする化学物質を導入し、便器が抗菌になっても、使用する人が肌で触れたり、呼吸器から吸引してしまうことは問題にならないのでしょうか?久々に日本に帰ると、そんな矛盾が目に付いて仕方ありません。レストランで差し出される温かいお手拭の袋にも「抗菌」。袋を開けると人工的なにおい。それだけで食欲が半減してしまいます。これがサービスなんでしょうか?

日本の生活は清潔さ、それが行き過ぎた抗菌を重視するあまり、途方もないほどの化学物質を受け入れているように感じます。ウェットティッシュや赤ちゃんのお尻拭きは、いつから「常備品」になってしまったのしょう?アメリカの研究では女性はスキンケア製品からだけでも、年間2kgの化学物資を身体に吸収してしまうそうで、これほど訳の分からない異物が長期間にわたって身体に入ってきたら、免疫機能がパンクしてしまうのも想像に難くないことではないでしょうか。

「50歳からの食事 脳より賢い腸に従え」には、
「O-157に感染して重症化する人、軽い下痢で済む人の違いは、腸内細菌。普段から腸に雑多な菌を入れていれば、腸内細菌が鍛えられて大事に至らない。インフルエンザやノロウイルスが猛威を振るい、花粉症やアトピーが増えた原因は、行き過ぎた清潔志向が免疫を低下させているため」
とありますが、個人的には非常に納得してしまいます。

20代のとき、生牡蠣3個を友人と分け合い、2つ食べた私がA型肝炎になり、1個だけだった友人はなんともなかった経験は、免疫力をいうものを意識するきっかけになりました。食べた場所は香港を代表する高級ホテルのパーティーで、他にも大勢がA型肝炎になっていたら、病院から保健所に連絡が行き大騒ぎになっていたでしょう。しかし、そういう事態にはなりませんでした。ちょうど目の回る忙しさだった時で、自分の免疫力がいかに低下していたかを実感しました。(あの話は〜3つのオイスター〜で)

記事にあった、
「衛生的にはある程度おおらかなほうがいい」
これも全く同感でした。人間の身体には常在菌という必要な菌もたくさんあります。それさえも皆殺しにしてしまうような「衛生」や「清潔」は、やはり恐ろしく感じます。腸内細菌だけでなく身体に宿る常在菌を守りそして守られ、共存していきたいものです。

(ひとまず完)

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「マヨネーズ」

子どもたちが生まれた20年前でもお尻拭きというものはありました。あのにおい、滑り感、化学物質の固まりのような物を、赤ちゃんの柔肌に触れさせることすら恐ろしく、私はおむつ替えのたびに洗面所のお湯で「丸洗い派」でした。洗っていると温(20歳)など、
「ふーっ」
とため息をつき、渋い顔で気持ちよさげでした。

(温1歳半ごろ。シンガポールのインターコンチネンタル・ホテルにて→)

西蘭みこと 

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