「西蘭花通信」Vol.0612  NZ・生活編 〜幸せな人は太らない〜            2013年3月6日

寄付用に作っている多肉植物の寄せ植えを持ってボランティア先に顔を出すと、かつてのボランティア仲間にばったり再会しました。5年ぶりぐらいでしょうか?総勢何百人もいるボランティア、彼女がまだ続けていたことさえ知りませんでした。以前は毎年の半分近くをフランスで過し、永遠に終わらない春と夏を楽しんでいる人でした。

(趣味と実益?私に実益はありませんが、これで寄付金集めになるならお安い御用です→)

フランスに滞在するときは、南仏のどこかに停泊させているボートで過し、買い物やフランス語のレッスンのために陸に上がり、気が向けばそのまま近場を転々と航海する数ヶ月。豪華な暮らしぶりに思えますが、本人がにこやかに言うにには、
「ボートは狭いし揺れるから、いつも整理整頓しておかなきゃいけないし、天気が悪くてグラグラしている時でも料理を作らなきゃいけないし、毎日が軍隊の訓練みたいよ。でも、夫が好きなのよ。」
ということでした。

彼女は60代と思われるキウイで、今は70代に手が届く頃かもしれません。年齢相応の外見だと思います。しかし、その豊かな表情やほっそりとした体系には、なんとも言えない「幸福感」が漂っているのです。一緒に働いていた頃、そう思っていたことを不意に思い出しました。それぐらい再会した彼女もまた、社交辞令ではない懐かしさと喜びに顔をほころばせ、相変わらず無駄のないスラリとした体型をしていました。

「あのボートは売っちゃったのよ。その代わりキャンピングカーを買ったの。90年代の古いものなんだけど、今はオランダに停めてあって、5月になったらそれでドイツを3ヵ月ぐらいかけて周ろうと思ってるの。」
彼女のウキウキした周波数は聞いているこちらもしっかりとキャッチできました。レトロなキャンピングカーがドイツの濃い、深い、果てしない森を抜けて行く様子が、目に浮かぶようです。

「クルマだったらどこでも行けるじゅない!ポルトガルからノルウェーでもロシアでも。」
と相槌を打つと、
「でしょう?ボートもよかったけれど、今度はアルプスとか今まで行けなかったところに行ってみたいの。」
その言葉には自慢も謙遜もなく、恵まれた環境を惜しみなく謳歌している素直さ正直さが、聞く者の心にまっすぐ届きました。

幸せな人は太らない――彼女と別れた後にふと心に浮かんだのが、このフレーズでした。幸せな人は必要なエネルギーが過不足なく摂れているので過食する必要がなく、太らない―――。いつか、どこかで目にした、本だったか何かの記事だったかのこの一文。英語の原文の日本語訳だったような気もします。読んだときはドキリとしましたが、内容が納得でき、心の中にストンと落ちる言葉でした。

この場合のエネルギーは食べ物だけを意味しません。お金だったり、時間だったり、健康だったり、愛だったり、友情だったり、充実感や満足感だったり。それこそ自然や大地からの直接的なエネルギーもあるでしょう。エネルギーに過不足がないというのは、余裕があり、心が落ち着いていて、あらゆる面で満ち足りた状態ではないでしょうか。

彼女が金銭や時間に不自由していないのは一目瞭然ですが、この福祉国家の年金生活者にあっては、飛びぬけた存在とも言えません。しかし、彼女には生活のゆとりを越えた、心身の調和、心の平安といった、もっと崇高なものを感じます。化粧っけのない素顔は週末のトランピングで今や死語になってしまった美しい小麦色で、きちんと切りそろえた健康そうな爪は働き者の指に似合っていました。

あれほど素直で正直だから、ほしいものが惜しみなく与えられる。そしてエネルギーが満ち満ちていて、人を思いやる余裕が持て、笑顔にも会話にも奥行きがある。そんな人だから必要以上に求めない。NZとヨーロッパを行ったり来たりとやっていることは大胆でも、日々の暮らしはきっと穏やかで慎ましやかなはず・・・そんな風に感じました。

心と体、健康と行動、財布の中身と暮らしぶり、自分と周囲・・・・彼女を取り巻くあらゆるものに無理、無駄、見栄、奢り、我慢がなく、愛、喜び、調和、平安が宿っているように思えました。過不足がない中庸とは、こういうことを言うのかと、教えられる思いでした。あと20年で私も彼女の境地まで行けるのか?いつまでも後をついて、お手本にしたい人だと思いました。

そんな彼女の名前はJOY(歓喜)。できすぎです!

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「マヨネーズ」
ストレス太りという言葉があるように、人はストレスで「劣勢に立たされている」と感じると、無意識のうちにエネルギーを補給し体勢を立て直そうとするものだそうです。飲酒や高カロリーの物、甘い物を食べるのは、最も手っ取り早いエネルギー補給なのでしょう。

問題なのは本人がストレスを意識していない場合です。達成感や満足感を追及するあまり、自分に大変なプレッシャーをかけていたり、健康を害していたりすると(「病気は身体へのストレス」と教えられたときは目からウロコでした)、頭では、
「上手くいっている。幸せだ。」
と思っていても、身体はエネルギーを求めてしまうようです。

こうしたことを踏まえ、この1年半はじっくりと自分の心と身体に向き合ってきました。ダイエットはしていませんが体重が4kg減り、理想まであと2kgになりました。愛と喜び、調和と平安を保ちつつ(笑)、ゆっくりと理想に近づいて行こうと思います。

西蘭みこと 

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