「西蘭花通信」Vol.0598  経済編 〜不動産チャチャチャ:先輩の教え〜          2012年9月5日

「そうか、とうとう賃貸物件を買ったのか。不動産投資はいいぞ。キウイの中には自宅を担保に投資をするのに否定的な人もいるけど、これが一番効率がいいんだ。」
私たちにとってはNZ不動産投資の大先輩にあたるオスカーに近況を報告したときの"お言葉"。

古い読者の方ならご記憶にあるかもしれませんが、彼とその大親友ネイサンのことは、かつてのメルマガ「不動産チャチャチャ:コヒマラマ」「不動産チャチャチャ:アジア仕込み」でお話ししています。あれから自宅を購入し、庭に離れを建て、今回やっと投資不動産を購入し、気がついたら6、7年も経っていました。2人は今でも元気に"つるんで"(笑)いますが、投資動向には変化が出ています。

知り合った頃は買い一辺倒だったオスカーも今は資産の見直しに入り、NZの不動産は何軒か売却してしまいました。投資というと現金でポンポン買うイメージを持つ人もいるでしょうが、実際は多くの人が税金対策上からも住宅ローンを組んで経費を計上しながら行います。長らくローンの返済を続けてきたオスカーですが、相応のキャピタルゲインの見込める物件や、賃貸物件としては利回りの低いものを手放したようです。

しかし、そこで手仕舞わないのがオスカー!回収した現金で今度は海外進出です!!まず、ユーロ安に目を付け、ドイツでリゾート物件を購入。普段は管理会社に委託して貸し別荘として貸し出し、自分たちが旅行に行く時はそこに滞在しています。湖の畔で、クルマですぐにスイスに入れるという好立地!また、ポンド安と低金利に乗じてロンドンにもアパート(日本で言うマンション)を購入。オリンピックを経て多少でも市況が盛り上がってくれれば、と期待しているそう。

50代だったオスカーも今や60代。投資も年齢とともに成熟していくのを感じます。働き盛りの年代と自分が愉しむべき年代とでは、投資内容は異なるべきなのでしょう。こうしてお手本を見せてもらうと、とてもわかりやすいです。私にとっては10年、夫にとっては15年も先の話ですが、それまで試行錯誤を重ねながら、しっかりやっていきたいものです。そして時期が来たら、オスカーのように手放すことにもやぶさかではない柔軟さを持っていたいと思います。

もう1人、私にとって投資の先輩にあたる人がいます。ボランティア仲間のポーリーンで70代の未亡人です。彼女は以前、数軒の借家を持ち、店を経営していたことがあり、再婚した2人目のご主人とは何年も一緒に輸出業を営んでいました。借家だけでなく、店やオフィスなど商業不動産を所有していたり、賃貸していた経験もあります。

「でもね、今は全部売ってしまって、残ったのは自宅だけよ。」
とにこやかに言う彼女。
「この歳になるとね、お金なんて要らないの。たまに旅行に行けるお金があれば、普段の生活なんて、ホントにお金がかからないものよ。ほしい物もないし、年金もあるしね。」
かつて持っていた人から「お金なんて要らないの」と言われると、説得力があります。

「自分が死んだときに、あちこちにいろいろなものを残していると、娘が大変でしょう?あの子は商売をしたことがないし、自宅を持っているだけで、不動産にも詳しくないのよ。だから、とっとと処分して、娘名義の銀行預金にしたり、ファミリートラスト(家族信託:英連邦によくある家族の資産を訴訟などから守る目的で設立される信託)に入れたりして、あの子に迷惑かけないようにしているの。」

ポーリーンがそこまで用意周到なのは、もしも彼女が別れた前夫より先に逝ってしまったら、前夫が遺産の相続権を求めて、実子の娘に挑戦してくる可能性があるからなんだそうです!
「そういう人なのよ。私が死ぬのを待っているような、ね。」
父子間で訴訟沙汰になるようなことが起きないよう、娘に迷惑をかけないようにと、彼女は抜かりなく早めに準備をしたのだそうです。 これもまた、成熟した70代の資産形成の在り方の一つなのでしょう。

諸先輩の言葉とその軌跡はすべてが貴重な教えです。何もかもが末広がりに見えた人生の前半も、後半に入ると状況が変わります。しかし、長年「末広がり」な状況に慣れ親しんでしまうと、なかなか「尻すぼまり」な状況を思い描けないものです。しかも、前向きで、創造的な「尻すぼまり」となると、こうしたお手本が身近にないと想像しにくいものです。

私にとっては20年、夫にとっては25年も先ですが、私たちもその時にはこんなに落ち着いた心境で、子どもや孫の幸せを願いながら、心穏やかに暮らしていたら・・・・と、願ってしまいます。しかし、それまではオスカーのように多少危ない橋を渡ってでも、しっかり資産形成に取り組み、今すべきことに邁進していきたいと思います。

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「マヨネーズ」
オスカーとネイサンは他にも熱心に取り組んでいる投資があります。それは、馬!そう、競走馬です。海外馬がいいそうで、2人していろいろな馬に出資し、
「まぁ、馬主と言っても持ってるのは尻尾ぐらいなものだけど、これがなかなかリターンがいいんだよ。」 と、ホクホクのオスカー。

いつもニコニコ、色艶もよく、赤ちゃんをお爺さんにしたような好々爺のネイサンの方が、実はスゴ腕なんだそうで、馬に関してはネイサンが先生で、オスカーが生徒です。
「タカもどうだ?」
と言われたそうですが、
「鞭なんかで打たれたら、馬だって痛いだろうねぇ。」
というのが夫の返事。うちは猫に小判の、猫でいいや?!

(元気だった頃の愛猫ピッピとチャッチャ→
儲からないどころか相当医療費もかかったけど(笑)キミたちが一番さ!)


西蘭みこと 

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