「西蘭花通信」Vol.0551   経済編 〜不動産チャチャチャ:50歳の借金〜      2012年3月1日

50歳になって早3週間ちょっと。毎日の生活や健康状態が特に変わるわけはありませんが、意識は変わったように思います。大げさではなく「仕切り直し」とか「リセット」という言葉があてはまる、そんな気分です。

現在のNZの年金受給開始年齢である65歳まで、あと15年(私が受給するときもその年齢である保証はありませんが)。たったの15年です。今月15歳になる次男・善が生まれた時のことを、ひょいっと思い出せるということは、65歳もひょいっとやって来るのでしょう。「うかうかしてられない」という想いがズシリときます。それが50歳。

誕生日に配信したメルマガ「50の約束」 の中で最も大きな決断が、「投資不動産を持つ」でした。これは「NZ株投資を本格化する」とともに、「資産形成に取り組む」という究極の目的の一環ですが、不動産となると株や債券投資の金額とは桁が違います。住宅ローンという借金も負うので、夫も巻きこんだ長期にわたるコミットメントになります。これから長男・温が日本の大学に行くかもしれず、円高の状況下、いったいいくらかかるのかわからない不透明な中での借金でもあります。

何もしないでいる言い訳はたくさんありますが、「あと15年」という実感は私を動かすに十分でした。今すぐ30年のローンを組んでも、返済が終わるのは理論的に80歳です!これには我ながら笑ってしまいました。ここはもうつべこべ言ってないで動くしかないでしょう。

さっそく必要書類を持って銀行に行ってみました。温のこともあるので、自己資金を使わずに2軒目を購入するとしたら、自宅を抵当に入れるしかありません。自宅にはローンがありません。この条件でいくらまで借りられるのか?移住以来8年近く取引している凸凹銀行の融資上限は、自宅のCV(市が固定資産税の算出基準にしている評価額)の「80%まで」、最近、住宅ローン獲得に向けて低金利で攻勢を強めている、取引のないABC銀行では「75%まで」でした。

(下見会にも時々出かけるようになりました。この家は高値で売れていきました〜^^;→)

ただし、凸凹からは「アパートと90年代に建てられたタウンハウスの購入を除く」という条件が付きました。アパートは日本で言うマンションのことで、オークランド中心部では供給過剰のため空室率が高く、評価額が上がらないという問題を抱えています。90年代のタウンハウスは雨漏り物件が多数あり、市場で敬遠されがちな物件です。いずれも購入の対象ではないので、この点は問題ありませんでした。

こんなにもあっさり金額が出るとは!いくら不動産売買時の指標になるとはいえ、CVは3年毎に見直され、最新のものはごく最近発表されたばかり。ちょうど一昨年2010年にオークランド地方は一大自治体統合があり、スーパーオークランドと呼ばれる人口150万人の拡大オークランド市が成立したばかり。そのため、今回のCVは自治体統合後初のものとなり、従来と計算式が変わり、場所によって大きく変動がありました。

我が家も最も変動幅が大きかったエリアのひとつで、CVが17%上がりました。お隣の借家は20%も上がっているので、同一エリアでもばらつきがあります。逆にCVが大きく値下がりした場所もあり、しばらくマスコミで話題になったものです。これほど変動があるCVだけを基にして融資枠が決まるということは、上限めいっぱいまで借りた場合、次回の見直しでCVが下がった場合のリスク(追加担保を求められるなど)を考慮する必要がありそうです。しかし、今回はそれほど大きなローンを組む予定はないので、心配なさそうです。

凸凹銀行の場合、すでに口座があるので、世帯収入の大半が把握できるということもあり、他銀行の残高証明などは求められませんでした。弁護士を通じて自宅の抵当権を銀行に移し次第、上限枠以内の希望の金額が当座貸し越しという形で私たちの共同口座に振り込まれ、「あとはご自由にどうぞ」という訳です。その時点では住宅ローンではないので、入金されたお金を何に使おうが、金利さえ払っていればOKなわけです。

金利は変動金利ですが、NZの現在の政策金利は史上最低の2.50%。市中金利は市場の動向に左右されるとは言え、やはり記録的な低さで、取引のないABC銀行では5.19%という金利を提示してきました。ただし、変動は変動ですから、いつ何時金利が上下して返済金額が増減するのか、予測はつきません。凸凹の担当者曰く、通常は金曜日の営業時間以降に一斉に金利が更新されるので、内部の人間でも予測は全くできないとか。当然ですが・・・・。

抵当権を移すための弁護士費用も1,000ドル(65円換算で6万5000円)を上限に銀行持ち(実費は数百ドルなのでお釣りがきます)、不動産売買では不動産屋に手数料は払うのは売手だけなので、本当の本当に「1銭も自己資金を使わずに家が買えちゃう!」というわけです。
「口座にそんなまとまったカネが振り込まれたら、使い込んじゃいそうだな〜」
と言う夫。おいおい(汗) ともあれ、しばらく不動産の勉強が続きそうです。
(不定期でつづく)

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「マヨネーズ」
約8年前の凸凹銀行との取引開始時点の逸話は、当時メルマガにしました。新参者のすったもんだも、今ではいい思い出です。ご興味があればリンクからどうぞ。
「銀行チャチャチャ」
「銀行チャチャチャ その2」

「銀行チャチャチャ その3」

「銀行チャチャチャ その4」
「銀行チャチャチャ その5」
「銀行チャチャチャ その6」

「銀行チャチャチャ その7」
「銀行チャチャチャ その8」

「銀行チャチャチャ 最終回」


西蘭みこと 

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