「西蘭花通信」Vol.0529   生活編   〜キウイ東北プロジェクト〜          2011年3月24日

3月11日の東北関東大震災から早2週間。
「1000年に1度の災害なんだから、1000年に1度とは言えなくても生涯に1度の支援をしよう!」
目を覆いたくなるようなテレビ報道に接しながら漠然と考えていました。しかし、生涯に1度の支援とは?

事態は日を追うごとに地震・津波という天災から原子力発電所の爆発・放射線漏れという人災へと拡大し、終わりが見えなくなってきました。そんな中で時折り映し出される被災した学校での卒業式の様子。小学校だったり、中学校だったり。子を持つ親として自然と目が潤んでしまう子どもたちの姿。自分と重なる、子どもを見つめる先生や保護者の姿。

最初から被災した子どもたちのことが気になって仕方がありませんでした。親を失った「津波孤児」もたくさん出てしまったことでしょう。学校に通っているような子どもを残して逝かなければならない親の心情を思うと、胸を締め付けられるようです。

私は2008年のビルマ(ミャンマー)を襲った大型サイクロンで数万人の犠牲者が出た後、「サイクロン孤児」になった子どもたちを細々と支援しています。子どもの成長は早いものの、腰を据えて息長く取り組まなければならないものでもあります。あれ以降もスマトラ沖地震やハイチ地震があり、世間の目はそのつど衝撃的な報道に向き、鎖国同然のビルマの孤児のことなど忘れ去られてしまっています。でも、子どもたちは育っているのです。
(この話はコチラでも)

今朝もまた、とある中学校の生徒が震災後初めて学校に集ったという報道を目にしました。キッチンにいたので途中から見たのですが、
「私、お母さん死んだんよ。」
と友だちに言っている女子生徒に目が釘付けになりました。平然というよりも、照れ笑いさえ浮かべた表情に思わず口を押さえ絶句してしまいました。この表情に行き着くまでにどれだけの涙、苦しみ、痛み、絶望があったことか!きっとそれは今でも続いているだろうに、彼女は屈託なく「お母さん死んだんよ」と言ったのです。

その時、降って湧いたように、
「この子たちに会ってみたい。」
と思いました。どうやって?孤児を里子に迎える?自分が現地に飛んでボランティアでもする?どれもピンと来ません。

「もしも彼らがNZに来られたら?」
「それって留学?旅行?」

思考回路のスイッチが入りました。最も被災の激しかった学校に連絡を取り、両親を亡くすなど最も影響が大きい生徒の中で、英語や海外に興味のある人を学校に選んでもらい、夏休みや春休みに数週間ほど受け入れたらどうだろう?西蘭家がホストファミリーになり、旅費と学費を負担して、キウイ体験をしてもらうというのは?

思考はどんどん広がります。こちらの学校に交渉して留学生向けの学費を負けてもらうとか、個人や団体のスポンサーを募るとか。できれば同じ被災地であるクライストチャーチ旅行も実現できないか? 通学は最初の2週間にして3週間目は旅行や我が家以外のホストファミリーを体験してもらうとか?想像の翼は頭の中でぐんぐんと広がっていきました。

スポンサーシップは寄付以外に、
「ワイヘキ島行きフェリー券往復」
「ラグビー観戦チケット」
「スカイタワー入場料」
「ロトルアのポリネシアンスパの入浴料」
など細かい項目を設け、できるだけ多くの友人知人から支援を募り、
「こんなにたくさんの知らない人から支えられている」
ということを実感してもらえないだろうか?善意とは本来、無名で見返りを求めないもののはず。そんな機会を施す人にも受ける人にも提供できたら・・・・

もちろん、西蘭家の財政負担が軽くなれば同時に2人、春・夏で計4人を受け入れることも夢ではなくなります。賛同してくれるホストファミリーがいれば、もっと多くの生徒を受け入れることもできるかもしれません。慎重に方法を練り労さえ厭わなければ、可能なことばかりです。

「よし、やろう!」
いつものことながら、即断即決。すぐに夫にアイデアを告げると、
「いいんじゃない。しかし、よくいろんなこと考え付くよね。」 と思ったとおりのYES。
     (「雲の棚引く国、アオテアロア」、NZでお待ちしています!→)

長男・温(17歳)の日本受験を控え、進学でいったいいくらかかるのか見当もついかないこの時期に、お金の話がまったく出ないのがこれまた私たちらしい、前向きなどんぶり勘定。「なんとかなる」というよりも「なんとかしよう!」と、今のところはスルーなのです。

かくなる上は、なんとしても温に希望どおり日本の大学に受かってもらい、来年の夏(NZの冬)までに部屋を明け渡してもらい、東北からの生徒さんの受け入れ準備をしなくては!いつもの事ながら、突拍子もない母親の思いつきに、
「これじゃ、絶対に受かんなきゃね!」
とニヤニヤする温。そうよ、震災者への支援にもなって自分の夢も叶うんだったら一石二鳥、がんばってくれたまえ!親も違う方向でがんばるからさ。

ともあれ、西蘭家のキウイ東北プロジェクト、始動です。

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「マヨネーズ」
プロバイダーを「まぐまぐ」に変えて以来、メルマガの発行をサボっていると、
「最近発行されていないメルマガについて」
というメールがバンバン来ます(汗) 

前のプロバイダーはこの手のプレッシャーがゼロで、まったくのマイペースでやらせてもらえたのですが・・・。「まぐまぐ」に背中を押してもらいながら、今年やっとの3本目。がんばらなくっちゃ!

西蘭みこと 

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