「西蘭花通信」Vol.0512  生活編  〜歩けないなら走ろう〜            2010年3月17日

昨年11月の終わりから左股関節の外側が痛くなって、早3ヵ月半。レントゲンでは骨の異常は認められず、医者は「靭帯の軽い損傷と周辺の腫れ」を疑っています。しかし、専門医に紹介し、さらに調べるということには否定的でした。
「手術をして治すようなものじゃない。第一、股関節の手術となったら大事(おおごと)だ。痛みを抑えれば生活に支障はないのだから、年齢も考えて(!)このまま行くんだろうな。」
との仰せ。

この2月で48歳になったのですから、「年齢のことを考えて」と言われると返す言葉がありません。いよいよ未体験ゾーンに足を踏み入れてきたようです。インターネットで自分で検索した限りでは、「弾発股」(だんぱつこ、英語では「スナッピング・ヒップ症候群」)というものに一番症状が近い感じがします。
病名はともあれ、関節部の複雑な構造かつ動きで軟骨部分が擦れ合って鋭い痛みと腫れが起き、患部が焼け付くように痛むようです。先生からも盛んに「ヒートはあるか?」と尋ねられましたが、まさにピッタリな表現です。最初は消炎剤を処方されましたが、薬が強すぎたのか、今度は「患部に氷を当てられたような冷たさ」で、夜中に目が覚めてしまうほどでした。その割には痛みそのものは消えなかったため、早々に服用を止めました。

その後はごくたまに市販の痛み止めを飲むぐらいで、44歳から始めたジョギングもヨガも休み、ひたすら安静に努めて腫れが引くのを待ちました。先生からは足を振って関節の収縮を解きほぐし、擦れを緩和する方法を教わりました(この話はコチラでも)。その間、厳寒の日本で3週間滞在しましたが思ったほどの苦痛もなく、一度だけ長歩きをした時以外はやり過ごすことができました。しかし、痛みは消えません。

数日前、4度目となる検診で再度医者を尋ねました。正直な話、痛みは五十歩百歩で目に見えた改善はありません。ただ、慣れてきたこともあり痛み止めを飲むことはなくなっていました。今では左足を地面に平行移動させる妙な歩き方も身に着けてしまい、散歩の途中で痛くなっても騙し騙し帰ってくるようになりました。しかし、これは続けると股関節の他の部分への負担となり、別の場所に鈍痛を感じるようになります。

「とにかく関節炎を治せる薬などないよ。痛みがコントロールできればいいわけだから、針やマッサージ、サプリメントを試すんだろうな。」
と、痛みを訴える私に、医者ははっきりと言いました。わかっていたことですが、断言されると心が萎みます。見かねたのか、帰り際に亜麻仁油(フラックスシード・オイル、亜麻の種から抽出したオイル)の摂取を勧めてくれました。

「フラックス?」
その名前を耳にし、ピンと来るものがありました。NZの先住民族マオリが非常に重用するフラックス。その強さは有名で、乾燥、吹きさらしの海風などどんな環境下でも育つほどです。葉を乾燥させて編み込めば、ざるのような小物から屋根葺きまで万能です。病院を出て薬局により、早速カプセルを買い込みました。


(訂正:その後、ブログに寄せられたコメントで、サプリのフラックスとNZフラックスは名前が同じだけで、全く違う植物だということを知りました。NZフラックスは食用不可だそうです。ただ、私が病院で感じたことなので、文章はこのまま残します。誤解でも閃きのおかげで今に至っています。♂ねこさん、ご指摘ありがとうございました。
これはNZフラックスの葉の工作→


徒歩で家に向かっていると、左股関節を中心にじんわりとした痛みが上下に伝わっていきます。
「もう走れないんだろうか?」
と思うと目頭が熱くなってきました。いつか子どもの手が離れ、糖尿病の老猫の看病もなくなったら、夫と山歩きに出ることを楽しみにしていました。こんなに美しい国に移住しながら、要介護の猫優先で1泊2日の旅行も自粛して5年以上が経ちました。先送りしていたつもりのお楽しみは、実現しないのでしょうか?

患部と思われる場所に触れると、グリグリと動くものがあります。右側にはないのでこの動きが問題の根源とわかります。踏み出そうと左足を上げるとき、逆に右足を踏み出して左足が後に残るときに最も痛みを感じます。上り坂で痛むのも足を上げるからでしょう。地面に平行するように、引きずるよりやや持ち上げて動かしていれば比較的ラクなことも実感しています。足を上げず、後にも残さないとなると・・・・

「走ったらどうだろう?」
その時ふと閃きました。ゆっくりのジョギングであれば、室内で行う「その場駆け足」同様、足を左右に踏みながら身体を揺するようなものです。、歩くよりも足を上げることがなく、両足が地面を離れている時間もあるので後にほとんど足が残りません。提げたショルダーバッグを脇に挟み、試しに軽く走ってみました。
「歩くより痛くない!」
これは大発見でした。

翌朝2km。
翌々朝3km。

亜麻仁油とともに家にあった魚油(フィッシュオイル)のカプセルを飲み始めたこともよかったのか、ゆっくりのジョギングであれば歩くよりも痛みがなく、遠くまで行けることがわかりました。患部の違和感は残るものの痛みに比べれば取るに足らないものです。
「歩けないけど走れる!」
この思いがけない展開がどれほど嬉しく、励みになったかは言葉になりません。まだまだ試行錯誤は続きますが、根気よく取り組み、いつの日か夫との山歩きを実現させたいと思います。

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「マヨネーズ」
長年、「サプリより食事で」とサプリメントを服用してきませんでしたが、とうとうこれを機に亜麻仁油とフィッシュオイルにはお世話になりそうです。どちらも関節痛の改善に効力があると言われ、特に後者は消炎効果も高いようです。人体で作れない不飽和脂肪酸の1種オメガ3に富むところも共通しています。

加齢による関節への影響はコチラが参考になりました。やっぱり必要なのは筋力ですね!

西蘭みこと 

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