「西蘭花通信」Vol.0498  生活編  〜漫画と映画と動画と〜                  2009年12月3日

11月中旬にオークランド日本領事館の主催で日本映画祭がありました。上映作品は「千と千尋の神隠し」、「デスノート」前後編、「舞妓はーん」、グっと時代が遡って「東京物語」で、全5日間。「毎晩邦画が愉しめる♪」というステキ企画。西蘭家は3日連続でキウイや学生さんに混じって愉しんできました。お目当ては、温(15歳)が盛んに観たがっていた「デスノート」。人気漫画の映画化なので彼に吹き込まれなかったら、観ていなかったかも。(でも「20世紀少年」は観たかったりして。なにかと矛盾の多いアラフィフです)

映画は前後編の2本立てで2日にわたって上映されました(本当はオークランド大学の階段教室の大スクリーンでDVDを観たのですが)。日本では前後編合わせて80億円の興行収入があったそうで、こちらでもオタク系アジア人を中心に話題になり、一般上映はなかったもののDVDをゲット済みのコもけっこういたとか(息子情報)。

温は去年、こんなTシャツを買っていました→

なーんの予備知識もなく臨んだ私。映画が始まるや、主人公の名前が夜神月(やがみライト)というあまりにもマンガちっくなネーミングで、ガツンと一発お見舞いされました。
「警視庁のおエラいさんが、息子に『ライト』なんて名前付けるぅ〜?」
と、早くもつまづくアラフィー。しかも、主役のルックスがミステリアスと程遠い『丸顔』で、
「うっ、入り込めない!Tシャツのイラストとかーなーり雰囲気違うんですけど〜」
と感情移入にてこずること数分、いや、もっと、うん?最後までだったか?

しかし、まごつく私など置き去りにして、ストーリーはグングン進みます。さすが次号へと引っ張るのがお得意の漫画が原作だけあって、10分に1回ぐらい背中を押されるような展開になり、
「おー、週刊が一気に読める〜♪」
みたいなスピード感とお値打ち感(←主婦には高得点?!って、そもそもこの企画、無料なんですけどー。ーゞ)。

しかし、映画作りとしては、
「映画という3Dを、あえてマンガと同じ2Dに焼き直してる?」
と深読みしたくなるほど、ちゃっち〜(ファンの方、陳謝)
「今ドキ、ドラマだってもっと凝ってない?」
というシーンがいくつもあり、
「この低予算(多分)で高収益、スゴい利益率だったんだろうなぁ。」
と話に引き込まれつつも、冷静に考えている自分がいました。

ウィキ
によれば、 当初は連続テレビドラマ+劇場公開という抱き合わせ企画だったそうで、ある意味、最初から「ドラマと映画の中間のようなもの」を狙ったのかな、と思いましたが、これだけヒットして前後編の観客動員数が合わせて650万人(((@@)))という数字からみて、逆に、
「これは今ドキの趨勢なのかな〜」
と思い直しました。

映画だろうがドラマだろうが、「YouTubeで十分」という世代の視聴者に、往年の銀幕へのオマージュなど期待する方が無理。ジャンル別の作り込み方などどーでもよろしく、ストーリー性と俳優が重視される傾向が強まっているのではないでしょうか?ここ数年広く使われるようになった「動画」という言葉がそんな傾向を端的に表しているような。
「動いてりゃいい。」
みたいな、ぶっちゃけたものがあるような気がします。

映画はこよなく愛してもテレビドラマは最後に観たのが、「東京ラブストーリー」(ググってみたら1991年の作品でした^^;)という私には、映画として観る「動画」はけっこう新鮮でした。こういう新世代映画がガシガシ稼ぐことで、生粋の映画人への刺激になり、邦画がボーダーレスに発展していったらいいなぁと、素直に思います。ただ、この作品の成功は原作に負っているところが大きいと思われ、むしろ原作のスゴさを感じました。

映画制作はとかくお金がかかるので、「ヒット作が続くといい作品がどんどん出てくる」という、一種の業況サイクルがあると思います。映画ファンドを組成して巨額の資金をあっという間に調達!みたいなことが、ちょっと前まではホイホイできたわけで、不況とともにハリウッドの凋落ぶりも本格化?!それと対照的な邦画の躍進は心強いです。

後編は前編の緊張感が惜しまれるほど中弛みしてしまったけれど、
「動画だしね。」
と思うと妙に納得。作品そのものからその周辺までいろいろ考えが及んで、二重に愉しめた映画でした。子どもたちももちろん大満足。善(12歳)は日本語補習校を休んで鑑賞。やや渋々だった夫も、
「恐かった〜」(どこが?)
と言いつつも、エンジョイしてました。

3日目は子どもたちにフラれたので夫婦で「舞妓はーん」へ。
笑って笑って、
「くだらないにもほどがある〜」(←西蘭家では立派な褒め言葉)
と言いながら笑い倒してきました。いや、もう最高!こちらはしっかり「映画」でした。

観客も日を追って増え、「舞妓はーん」の方が「デスノート」より満員だったのは驚きでした。
(キウイくんたち、内容を知ってて来てたのか、舞妓さんの着物姿が目に止まって"ニッポン文化"を期待して来てたのかはナゾです)

===========================================================================
「マヨネーズ」
世界中で凶悪犯が次々と心臓発作で死んでいく・・・・・
これを救世主キラの御業と吹聴して、影で操るナゾの天才。一歩間違えば自分も危ないというのに、地球を救うために悪に立ち向かう警視庁の数名(確か5、6人)。

「これってウルトラマンのウルトラ警備隊じゃな〜い!」
と思ってしまったのは私だけ?日本でばかり集中的に起こる事件に、たったの数人で立ち向かうって、
「ちょっとムリがない〜?」
と子どもながらに思いつつも欠かさず観ていた初代ウルトラマン。いざとなるとウルトラマンがやってきて、一件落着!

ということは、ナゾの天才に立ち向かうこれまたナゾだらけの天才Lはウルトラマン?!

西蘭みこと

ホームへ