「西蘭花通信」Vol.0488  生活編  〜ブルースプリング・レポートVol.1:キャリア・エキスポ〜         2009年8月27日

これから「ブルースプリング・レポート」と題して、青春真っ盛りになってきた長男・温(15歳)の日常を記録に残してみます。学校であったホロリとさせられる話、友だち同士の抱腹絶倒話、この年齢らしい悩みや青い正義感、不安と期待と逃げとガッツがない交ぜになって自分でもよくわからなくなっているのモヤモヤの瞬間を、カメラのファインダーを覗くようにちゃちゃっと切り取ってみようと思います。できる限り本人の主観と言葉で綴り、私は狂言回しに徹するようにします。

第1回目は温の通う高校で開かれた「キャリア・エキスポ」なるものに2人で行ってきたので、その様子をお伝えします。これは名前こそ仰々しいですが、日本で言えば進路相談会のようなものです。大学、専門学校などがブースを構え、「卒業後はぜひうちに!」とパンフレットを配ったりビデオを見せたりしながら、生徒の質問に応えます。ニュージーランドらしいのは、ここに警察と陸海空の三軍がしれっと混じっていること≧m≦

その上、迷彩服を着込んだマッチョな陸軍の担当者にまっすぐ進み出て、あれこれ熱心に話を聞き、差し出された紙に名前や連絡先などを書き入れ、さらに話をしているのが、金髪のポニーテールがゆれる小柄な女子生徒だったりするのも、実にキウイ@@;彼女の横でニコニコ付き添っているのも金髪のママでこの母子はかなり長い時間、話をしていました。あとでその話を温にすると、
「あぁ、あのコか。9年生(日本の中2、こちらの高校の1年生)のコだよ。」
とあっさり!(ちなみに温は11年生、日本の高1です)

「なんで9年生のコが話を聞きにきてるの?」
と驚いて尋ねると、
「将来何になるか、もう考えてんじゃない。アーミー(軍)に入ってがんばるとタダで大学行かせてくれるから、けっこう人気があるんだよ。大学って毎日行かなくてもいいじゃん。だからトレーニングがあるときはそっちに行って、休みのときとかに大学行くの。(大学ってそんなにお手軽でしたっけ?_?)アーミー辞めてもディグリー(学位)は自分に残るから、それもいい考えだよね。」
と言う真偽はともかく(子どもの話しはアテにならないものも多し)、明瞭なお答え。

NZでは大学に進学する場合、親が学資や生活費を出すのではなく、生徒自身が学資ローンと呼ばれるローンを組み、大学生活を借金で送ることが少なくありません。卒業と同時に返済が始まり、収入にもよりますが多くの人がかなり長い期間をかけて返済するため、家を買いたくても頭金を貯める余裕がなかったり、早く返済を済ませようと高給を求めて海外に働きに出て、結果的に人材の流出になってしまったりという問題も顕在化しています。なので軍にスポンサーになってもらって大学を出るというのは、一案ではあります。

一番人気のブースは何と言ってもご当地大学、オークランド大学でした。立派な冊子になったパンフレットの数も種類も圧倒的な充実度で、なくなるとどんどん補充しています。温曰く、大学によってはちょっと話をして真剣そうでないと冊子をくれないところもあったとか。(その割には本人4校分をゲット。ちゃんと読めよ〜)

二番人気はオタゴ大学。今、若者の間では南島の街オタゴが熱いんです。
「なんか寒そ〜!」
なんて言っちゃうおばちゃんは引っ込んでないと(←自分)。市を挙げてのオタゴ移住プロジェクト(確か引っ越し代をもってくれるなど特典がありました)が成功し、テレビ宣伝で流された美しい緑の街は確かに魅力的でした。しかも「大学の街」のイメージが強く(それだけ地場産業が少ないとも言えますが。あっ、また「おばちゃん発言?!」)、若者が、
「オレら主役?」
みたいな幻想を抱きやすい状況ができているうようです。

「大学のビルも古くてカッコいいじゃん。そういうのもクールなんだよ。」
と温。コレでですよ、コレ。
(時計台と話を聞く女子生徒)

まぁ、進学の理由なんてなんでもいいんですけどね。本人が4年間(3年の場合も)続けられる熱いパッションを持ち続けられるのであれば、どこの何学部だっていい訳ですよ。行くのは本人、親じゃありませんから。

パッと見る限り、全体的に女子生徒の方が積極的で、どんどん質問している姿をよく見かけました。特に数人連れ立っているグループは担当者を囲んであれこれ質問攻めにしていた様子。一方の男子生徒は1人でウロウロしていたり、2人組だとブースの端でパンフを見ながら2人でヒソヒソ話していて、担当者に声をかけるわけでもなくそのままスーッと離れて別のブースへ、というのを結構見ました。温はこの典型><;

温も始めは1人だったので、
「話を聞いたら?」
と背中を押すと、
「誰も説明してくれないんだもん。」
と言い切るじゃないですか┐(  ̄ー ̄)┌ なんで長男ちゅーのはこうもおっとりなんでしょう!

「そんなの当たり前でしょう。質問しなきゃ、説明しようがないじゃない。こっちの大学行って"あっちの大学より何がいいんですか"とか、なんでも聞いてみたら。みんな同じような学部があるんだから、比べなきゃ。」
と、押すどころか蹴りを入れんばかりに葉っぱをかけると、
「そうかぁ!」
と本人素直に納得。大混みのオークランド大学ではなく比較的空いていた別の大学に行ってモゴモゴモゴ。(つづく)

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「マヨネーズ」
「西蘭花通信の(つづく)ほど信用できないものはない!」
と、まず自分でツっこんでおきます。たーくさんの(つづく)を引きずりつつ、またまた新たな企画。申し訳ありませんー。ーゞ でも、今回こそは!(←狼おばちゃん?!)

西蘭みこと

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