「西蘭花通信」Vol.0484  生活編  〜コト・ザ・アームストロング:蝶と肉〜        2009年6月10日

わきの下に蝶を飼いたくはない。でも、ただ追い出すだけでは、その脂肪に守られていた臓器を冷やしてしまう――。2006年の友人とのふとした会話から始まった、私の腕物語は今年で3年目を迎えました。昨年の失敗は繰り返せません。それでも蝶を飼いたくないのであれば、方法はただひとつ。脂肪を筋肉に置き換えることです。

筋肉は脂肪よりも温かく、それ自体、身体を温めてくれます。しかし、脂肪と違い、身体の弱った部分に知らないうちに付いてくれる便利なものではありません。身体を動かし、必要な部分に付ける必要があります。しかし、人間の筋肉の70%は下半身に集中しているそうで、上半身に付けるとなるとかなり根気よくやらなくてはなりません。3年前に蝶を追い出すことを決めたとき、腕立て伏せを毎晩30回してみましたが、私の場合、腕の内側にゆで玉子大の力こぶができたばかりで、腕の外側にはあまり効果が出ませんでした。

触ると冷たいのは常に腕の外側から肘にかけてで内側ではありません。またヨガを知れば知るほど、腕立て伏せのようにからだの一部に強く負荷をかけ、それを繰り返して筋肉を付けることに抵抗を感じるようになりました。ジムでマシンを使って筋肉を付けるのと同じで、真面目にやれば割と簡単に効果が出る反面、止めるとすぐに元に戻ってしまうからです。私はもっと確実かつ恒久的、まさに血となり肉となる方法を求めていました。

44歳の誕生日から走るようになって3年以上経ちましたが、筋肉質になってきた足がそう簡単には元には戻らなくなった経験から、筋肉は「付けるもの」ではなく「育てるもの」だと実感したので、腕にも筋肉を「育てたい」と思いました。そのためには家で独りででき、無理なくコツコツ続けられる方法――、
私の答えはおのずと出ていました。
ヨガです。

(6月は霜を横目に走ることも。細々ながらも続いています→)

毎晩寝る前に必ず20分ほどするヨガに、一番好きなポーズ「牛の顔」を入れることにしました。これは背中に下と上から腕を回し、左右の指をがっちりと組むもので(詳しくはコチラでも)、ストレッチの強い、二の腕の引き締め効果の高いポーズです。私はなぜか前々からこのポーズが好きなのですが、ヨガでは「好きなポーズは往々にしてその人に必要なポーズ」とも言われており、私に必要な何かをもたらしてくれるのかもしれません。他にも日替わりで腕の強化につながるポーズを入れることにしました。

ヨガ以外にもうひとつ始めたことがあります。これは次男・善(12歳)からヒントをもらいました。学校のダンスの授業(体育ではなく)の準備体操として習ったものを、ヨガの呼吸法を意識して私なりにアレンジしたものです。まず肩幅に足を広げて立ち、両腕を肩の高さで左右に真っ直ぐ伸ばします。そして肩を基点に両腕をゆっくりと回します。反動を使わず腕の重みを感じながら、身体を揺らさずに回すのがコツです。前から後へ、後ろから前へ同じ数を繰り返します。小さな円から大きな円へ、その逆へといろいろアレンジできます。

鏡に向って立ち、左右の腕が水平であることを確認しながらしたり、鏡に直角に立ち、腕がきれいな円を描けているか確認しながらするのも効果的です。慣れてきたら腕が身体よりも後に回って胸が広がったときに息を吸い、前に回ってきたときに吐くように呼吸を整えると続けやすくなります。吸うよりも吐く方に集中すると呼吸が合わせやすいようです。ゆっくり回すほど呼吸が深くなり、腕の重みも増します。

ついでに肘の冷えの解消に、肘の関節も回しています。これも鏡の前でするとわかりやすいです。左手で右手の肘を固定し、右肘を基点に肘から下を回します。手首を回しながらできるだけきれいな円を描くようにします。これも内から外へ、外から内へと同じ数を繰り返し、左肘も回します。肘がギシギシ鳴ったり、熱を感じたりするかもしれません。これは香港時代、早朝の公園で老人たちが関節という関節を徹底的に回したり揺すったりしていたのを思い出して真似てみました。

肘は最近始めましたが、二の腕強化のヨガと腕回しはかれこれ2ヶ月続けており、かなり効果が出ていると思います。腕立て伏せと違い、腕全体が引き締まる感じが理想としていたものに近く、辛かったり苦しかったりするわけではないので無理なく続いています。特に寒くなってきてからは、身体を温めて寝ることでより早く深い眠りにつけるようです。(そうでなくても私の寝付きは天下一品なのですが^^;)腕回しや肘回しは仕事や家事の合間にすることもあります。特にパソコンの前に長時間いるときは、席を立ったときに気分転換も兼ねてしています。

腕は手の延長のように見え、身体の中でもスポットライトの当たる部分ではありません。しかし、「脇を固める」という言葉の通り、心臓や肺といった大事な臓器がある上半身を両脇から挟み守り温めているようです。昨年の辛い経験を経てその大切さを学んだ以上、もうわきの下に蝶は飼いません。これからは脂肪に頼らずコツコツと筋肉を育て、自分の力で臓器と健康を守っていこうと思います。

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「マヨネーズ」
サプリメントで急激に痩せた人が往々にして猛烈なリバウンドに苦しむのは、やはり脂肪が原因のひとつではないかと思います。必要があって付いていた脂肪を薬の力で落としてしまったため、身体が元の脂肪を取り戻し臓器を温めようと懸命に機能するのではないでしょうか?食生活を見直し、身体を温め、内臓を強化し、便秘、生理不順、疲労やストレスを改善すれば、脂肪の必要性も薄れるのではないかと思います。

西蘭みこと

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