「西蘭花通信」Vol.0476  NZ・経済編  〜0.60〜                   2008年12月20日

米国が16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で事実上史上初のゼロ金利政策に踏み切るや、ここ1ヶ月間対米ドルで1 NZドル=0.52〜0.55米ドルのボックス圏で推移していたNZドルは大きく買われ、18日には約1ヶ月半ぶりに0.60米ドルを回復しました。(同時に円も対米ドル90円から87円へと急激な円高に)

今回のNZドルの動きは、2008年3月に対米ドルで史上最高値(変動相場制移行以降で)を更新してからの急調整の中、初めて反発らしい反発に出たとも言えますが(0.52米ドルから0.60米ドルでは15%の上昇率@@;)、非常〜にテクニカルな印象でリアルタイムで動きを追っても、なんともヤル気のない腰の引けた買いっぷり。0.60米ドルを付けた時の小さな達成感は一緒に胸を撫で下ろしたくなるほどで、思わずため息をついたり。個々の思惑で買い上げていた方々(含む:ショートカバー)を「ご苦労さま」と労いたいところ。

「0.60だったら売りた〜い!0.52に戻っただけでも15%の益!」
と思っても、「サンクス&グッドラックU」 でお話したように、NZドル預金というものがない西蘭家には売る原資もなく´ー`ゞ しかも夫婦で入れ違いに里帰りし、延べ2ヶ月近く仕事を休んでしまった直後でもあり、
「12月は赤字」
と夫に宣言されたばかりのところでした。アイタタ><;

しかし、私にとり0.60米ドルは、どれだけ強い抵抗線であるかをここ数年間身をもって体験してきた思い入れのある水準でした。NZドルは2001年に0.40米ドル台の底値から始まり2008年3月に倍の0.80米ドル台で天井をつけた足掛け7年の大相場の中、3回明確に0.60米ドルを下値抵抗線に反発しました。

1回目は私たちの移住直前の2004年5月。遠い香港からでもNZの好景気を、
「不動産バブルではないか?」
と疑っていた私はあの時の0.70米ドル超からの15%の急落に「我が意を得たり!」の思いで「案外、早く家を買うことになるかもしれない」と思っていました。しかし実際に引越してきた頃には日々NZドル高が進行している真っ最中で、2005年には0.75米ドルを目前にしました。0.40米ドル台からの反転は1年近く0.50米ドルで底固めをした後、更に50%上昇して0.75米ドルに迫っていたのです。

「テクニカルで見れば、この先、底値からの2倍の0.80もあるかもしれない。でもそこまではいいや。」
個人的にとれるリスクとリターンを天秤にかけ、私は2005年6月にNZドル・ベア(弱気)に転じ、2001年から買い続けたNZドルに別れを告げ米ドル買いに転じました。(この辺の背景の詳細はスゴーく長いですがご興味があれば、メルマガの連載「キウイ・ベアの冬支度」でどうぞ)

「キウイ・ベアの冬支度−牛から熊へ」

「キウイ・ベアの冬支度U−モヤシ・ショック」
「キウイ・ベアの冬支度V−スタグフレーション」

「キウイ・ベアの冬支度W−30年前の冬」

「キウイ・ベアの冬支度X−クマの冬越し」

「キウイ・ベアの冬支度Y−冬の向こうに」


その頃はちょうど永住権が取れたところで、自宅の購入に向け物件探しを始めていたところでした。NZドル建てで見れば上昇を続けている不動産も、為替安に振れれば米ドル建てで安く買える可能性があります。本格的な景気悪化となれば不動産価格も為替も下がるはずですから、待てるのであれば待つべきでした。しかし、公私ともにどうしても落ち着き先がほしかった私たちは本格的な買い場よりもマイホーム取得を優先することにしました。

その結果、年明けの2006年3月に「これぞ運命の家!」と思える理想の家に出会い、夫婦で鼻息荒くオークション会場に乗り込んで行きました。ところが私たちが競りに参加できたのはほんの最初だけで、最後はキウイ2人の一騎打ちとなり、どちらかが私たちの予算より15%も高いところで落札し、憧れの家は人手に渡ってしまいました。
(オークションで撃沈された「運命の家」の当時の様子→)

その直後、落札していたらまさに必死で米ドル売りNZドル買いをしていたであろう時期に、NZドルが急落。一瞬ですが0.60米ドルを割り込みました。これが2回目につけた0.60米ドルでした。

0.60米ドルは私たちがNZドルを売った0.70米ドル超からちょうど15%低い水準です。
「こうなることがわかっていたら予算を15%引き上げてあの家を買うことができたのに!」
15%という数字の奇妙な一致にがっかりも倍増、多少のことでは凹まない私もさすがにあの時は3日ほど意気消沈しました。実はその時に自分を励ます意味もあって書いたのが、「ホーム・スイート・ホーム」 でした。(家の件はその後、大ドンデン返しになったのですが、その件はまたいつか)

未練たらたらで為替チャートを見ていた私は、0.60米ドルでの腰の入った買い方に度肝を抜かれました。同じ買いでも今回の状況とはまったく逆です。てっきり0.75米ドルから調整してきたように、そこからもスルスルと下抜けていくものだと思っていたのです。
「とてつもない買い手がいるのかもしれない。」
ここまで来るとドテ勘ですがそう確信し、
「次に0.60を割ったら手持ちの資金全部でNZドルを買おう!」
自分への決心も込めて、夫にそう告げました。そして3回目は意外にも早くやってきました。(つづく)

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「マヨネーズ」
師走ですが、今年はのんびりやっています。子どもが成長するに連れ予定が少なくなり、あっても親の出る幕がないものが多くシメシメ♪です。今では2人とも電車やバスで出かけることも多く、クルマの送迎もめっきり少なくなりました。

今日は長男・温(14歳)がキャンプ、最近ヲタク化が激しい次男・善(11歳)は友だちとシティーのカード屋で日がな1日カードゲーム。(イツカラコンナ子ニナッタンデショウ?)夫と私はここぞとばかりにフレンチ・マーケットへ繰り出し、アレをつまみコレを買い、顔なじみのお店の人と話をし、帰りに植木を買ってと、地味ながら充実した1日でした。

西蘭みこと

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