「西蘭花通信」Vol.0461  生活編  〜吉宅凶宅U〜          2008年4月7日

大工が2人立て続けにケガを負った凶宅。そこの工事を請け負った先の業者に再び質問してみました。
「じゃ、吉宅ってどんなもの?」
「そうだなぁ。見ればなんとなくわかるんだよな。古くても、なんかこう手入れがよくて小ぎれいなんだ。大事にされてる感じがして、家主に余裕ってもんがある。家に入ってもヤな感じがしない。日当たりがよくて、住んでる人の機嫌もいい。」

言わんとするところは、なんとなくわかります。荒んだ家というのは、不思議と外からもわかるものです。逆にきちんとしている家は、豪華でなくても庭の造りからゴミの出し方まできちんとしていて、住人の人となり、暮し方、気の持ちようがうかがえるようです。子どもたちがしている週2回のアルバイトの新聞配達を手伝っているうちに、たくさんの家をしげしげと見る機会ができ、特にそう感じるようになりました。

「家の周りにデカい木があるっていうのも大事だ。古くてデカい木があるってことは、その辺りの風水はそんなにワルくないはずだ。そうでなけりゃ、木もそんなに育たないからな。面白いもんだぜ、高い木がないとこってのは、ホントにないんだ。」

この点はあまり意識したことがありませんでしたが、言われてみれば確かにそうです。古い街路樹が続く通りは落ち着いていて、歩いてもクルマで走っても嫌な感じはしません。
(家を探している時は漠然と「屋根より高い木があるところ」と思っていましたが、結果的に電柱よりも遥かに高い十数メートルの木が何本かある一角に家を見つけました→)

良い風水の基本は人が気持ちよく、機嫌よく過ごせる場所だそうです。そのため、私は風水の細かい決まり事にはあまりこだわらず、自分の感覚、特に第一印象を大事にするようにしています。今の家の購入に際しても、物件の下見に行く時にはできる限り気持ちを中立に保ち、目に入って来たものや感じたことを尊重し、気になる点があれば見送りました。

そうこうしているうちに60軒近くも見送ってしまったわけですが、ついに見つけたある家はやや高台から水辺を望む、それはそれは風水の良さそうな家でした。外から見ても家の中の明るさや幸せそうな様子が目に浮かんでくるようで、温かで折り目正しい家でした。その代わり値段も高く、オークションに参加するために銀行から住宅ローンの事前承認を取り付けたほどでした。(本当はローンを組まずに予算内で買える家を探していました)

オークションの結果、その物件は私たちにとって目いっぱいの金額をさらに10%も上回る価格で落札され、第三者の手に渡りました。家は私のジョギングコース沿いにあったので、その後もよく前を通りました。売却後しばらくして売り手一家が引越していき、一時内装業者が出入りしていましたが、早々に買い手一家が引越して来ました。するとどうでしょう。外から見た家の感じがガラリと変わってしまったのです。

外装や庭は以前とまったく同じなのに、印象が違うのです。なんともひっそりとしていて、寂しそうなのです。これには驚いてしまいました。何が違うのかと目を凝らしてみても、以前はよく開け放たれていた前庭につながるフレンチドアがいつも閉まっているとか、子ども部屋だった部屋のカーテンが柄物から白に変わったことぐらいしか、違いは見当たりません。それだけで、こんなに印象が変わるものでしょうか?

風水は地形や間取りだけでなく、そこに住む人とも密接に結びついているそうです。なので風水師を訪ね、真っ先に聞かれるのは名前と生年月日です。理屈では説明できませんが、家と家主(もしくは、実際に住んでいる店子)との関係が、家そのものの印象を左右することもあるようです。逆に言えば、同じ家でも風水上の解釈はかなり流動的ともいえます。そのため風水を少しでも良くしようと、玄関に水盤を置いたり、時計や鏡の位置を変えたりするわけです。香港では、マンションの間取りさえ変えてしまう場合があります。

人が好む場所というのは石器時代でも今でもあまり変わらないのではないかと思います。こう考えれば、ウォーターフロントや山の中腹の物件が割高なのもうなずけます。基本は日当たりが良く、見晴らしが良く、極端な傾斜がなく、周囲に気になる障害物がなく、緑が青々と茂っていたり水辺に近かったり、人間のみならず他の動物にとっても過ごしやすい場所なのでしょう。

あとは、カーブの外側、辻のつきあたり、道路より低い場所など、悪い気が溜まりやすくその影響を直接受けそうな場所を避ければ、ひどい凶宅に当ることはほとんどないでしょう。しかし、病院、墓地はぜひとも避けた方がいいようです。この2ヶ所は風水が最も戒める場所ですが、引越し魔だった西蘭家はどちらの近くにも住んだことがあります!幸い大過なく過ごすことができましたが、いずれも引越し後の方が調子が上がりました。後から思い起こせば小さいハラハラや揉め事がいくつかあり、他の家に比べて懐かしむことが少ない家でもあります。特に善(11歳)が1歳未満で大病をしたのは苦い思い出です。

今の家の風水は先の業者の見立てでは「不錯」(ワルくない)だそうですが、きちんと感が醸し出せるほどの手入れとは程遠く、せっかくの条件を台無しにしている可能性大です。引越して来てから、かれこれ2年。離れの建設も9分9厘終わったところなので、これからしばらくは慈しみを込めて家磨きを強化していきたいと思っています。

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「マヨネーズ」
ユルっと書き始めたので、ユルっと終わります(笑) 日記「さいらん日和」にも書いたのですが、今年に入ってから何かと慌しい日が続いたので(仕事とは別に^^;)4月はじっくり内向きに過ごしながら、家のことに専念しようと思いま〜す。

西蘭みこと

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