「西蘭花通信」Vol.0426  生活編  〜ソーダ・ライフ〜          2007年1月10日

もう峠を越えましたが、ニュージーランドでは年末年始のこの時期、持ち寄りでパーティーに顔を出すことがよくあります。いわゆるポットラック・パーティーです。子どもが多く集まりそうな時、私はよく揚げ物を作っていきます。西蘭家が顔を出すパーティーなどどこも子どもだらけなので(笑)、必然的に揚げ物の出番が多くなります。

たまに、
「後片付けが面倒くさくない?」
と聞かれることがあります。この答えは、ほんの1年半前までは「イエス」でしたが、それ以降は断然「ノー」になりました。なぜかというと、台所用洗剤を使うことを一切やめたからです。(食器洗い機は元々使っていません)日本でも話題になっている「重曹」(ベーキングソーダ)で洗うようになってから、本当に食器洗いがラクになり、揚げ物の回数などむしろ増えてしまったくらいです。

ブームになっているので実行している方も多いかもしれませんが、別のところでこの話を取り上げたところ、
「聞いてはいたけれどやったことがなかった。ぜひ試してみたい。」
という読者の方の反応が多かったので、メルマガでも取り上げてみることにします。あまり下調べをせず、我流に改善を重ねたものですが1年半を経て、今ではほぼ以下の方法で落ち着いています。

まず、揚げ物をした鍋の油を切る。
(私は使った油をザルでこし、きっちりふたが閉まる広口ビンで保存しています。ガラスだと油の色、沈殿物がよく見え、広口なので洗うのも簡単なため)

残った油をトイレットペーパーで拭き取る。
(名前さえ気にしなければキッチンペーパーより柔らかく、安く、使い勝手がいいので実用的です。揚げ物を載せていたキッチンペーパーでも何でも構いません。使えるものは何でも使います。)

全体に薄く重曹をはたく。
(手や紙でえいえい延ばし、隅々まではたきます) 重曹と油が中和するため、残っている油が多ければ多いほど重曹が必要になるので最初の拭き取りは必要です。
(重曹をはたいた後。しっかり拭けばこの程度の量で十分→)

そのまま一晩置いておく。
(ただし、炒め物の鍋など油がそれほどきつくなければ、洗い物をしている間のみ放置)

最後に再びトイレットペーパーできれいに重曹を拭き取ると・・・。
あ〜ら不思議。ベタベタのはずのお鍋がツルツルピカピカに。(通常1回でOKですが、油分が残る場合はもう1度重曹を振り、拭き取ります。テフロン加工がしてある鍋やフライパンは2回することも多いです。ステンレスならまず1回で大丈夫)
(拭いているとすぐにピカピカになり、このまましまいたくなる衝動にかられます→)

あとはお湯洗いのみ。
表面がキュッキュッとして油分がなくなっているので、最初は不思議な感じがします。私はコットンの布きんで拭うように仕上げ洗いをしています。長らくセルロースの(海面状の)スポンジたわしを使っていましたが、コットンの方が耐久性に優れ、自然の物ということで、今ではもっぱらコットン派、おばあちゃんの知恵袋状態です。(焦げ目や表面に凹凸があるものにはナイロンたわしを使うこともあります)
(←10年使っている五層鍋ですが、洗剤で洗っていた頃よりピカピカ)

油分としては最大級の揚げ物の鍋がこんなに簡単に洗えるのですから、他のものなどお茶の子さいさい。普段は搾ったコットン布きんの端に重曹をつけ、お皿やボールを、洗うというよりも拭っていきます。この段階では水を控え、油と重曹を中和させるようにします。重曹のスクラブ効果とコットンのキメ細かさで拭きあげていく感覚でしょうか? 茶碗など油分の少ないものから始めるのがコツでしょう。(コットンに油分がつくので)

重曹のスクラブ効果は甚大で、曇ったガラスコップ、ステンレスのスプーン、茶渋のついたカップも漂白剤なしで驚くほどきれいになります。ただし、お弁当箱やタッパーウェアなどのプラスチック容器は油分が多い時は油鍋同様、先に紙で拭き、重曹を振って中和させます。ガラスやセラミックにはこの手間が必要ないので、本当にラクです。自然な素材、万歳!です。そのため、ますますプラスチック容器の出番がなくなってきています。

洗い(拭い?)終わったら、コットンを一度洗い、今度はお湯で洗い流します。ステンレスの油鍋同様、セラミックやガラスはすぐにキュッキュッとした手応えがあります。ここで引っかかったものにはもう一度、その部分に重曹を軽くつけて洗いますが、まず1回でOKです。古いステンレスのカトラリーもピカピカになるので、なんだかそれだけで嬉しく、ますます大切に使いたくなり、愛着が湧いてくるものです。

全部洗い終わったら、少し湿らせたナイロンたわしに重曹をつけ、シンクの内側、レンジ周りもサッサか拭いてしまいます。拭いた後はシンクなら水で流し、レンジ周りは布きんで拭き取ります。シンクがステンレス製なら感動するくらいピカピカになるでしょう。レンジは煮こぼしがひどい場合は重曹を振って一晩置くこともありますが、毎日拭いていればそれほどこびりついた汚れもなく、一拭きで片付きます。

これで1年半、洗剤を使うことをやめたところ、驚くほど掌が柔らかくなりました。そもそも真剣に「洗剤をやめよう!」とい思い立ったのが、老人ホームに慰安に行った時、信じられないほど柔らかな、老女ルーシーの手に触れたことがきっかけでした(その時の話はコチラから)。

なので目標達成♪ 契機となったルーシーには心から感謝しています。ベーキングソーダという食品でここまで安全に簡単に手に優しく食器洗いができます。その排水を草木に撒いてもなんの心配もありません。私のソーダ・ライフに後戻りはありません。

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「マヨネーズ」

この話はまだ続きますが、今回は読み切りに。夫は今でも洗剤派で、「手が荒れる」とボヤきながらも洗剤を手放しません(笑)手伝ってくれているので私は静観。

西蘭みこと