「西蘭花通信」Vol.0423  生活編 〜12年目の試練〜              2006年11月8日

人は生きている限り、体調・気分ともに好調、不調の波があります。(猫と暮らして14年になりますが、動物にもそんな波があるように見受けられます)
「できたらこの波を少しでも先読みし、意思的に制御し、平常心に平常体を(!)維持できたら。」
と、いつも漠然と思っています。

好調も不調も、天の思し召しで個々人にもたらされるのでしょう。必要があってもたらされる以上、不調といえどもやたらに回避すべきではなく、そもそも回避などできないはずです。しかし、波がやってくることをおぼろげにでも知っていれば、当事者となった時の負担が相当違う気がします。厄年がいつなのか事前にわからない場合を想像してみて下さい。(もちろん、厄年に何も起きない場合も多々ありますが、確率の問題として他の年と何かが違うため、長い年月を経てもその存在が信じられているのではないかと思います)

冷静であればあるほど、波の意味するところを深くとらえ、学ぶところも大きいのではないでしょうか。好調に奢らず、不調を嘆かず、自身に起きたことにしかと向き合い、誰のせいにも、何のせいにもせず、知恵を絞り、方法を尽くして立ち向かっていくことは、大変に困難でも人生を深くし、その人を一回りも二回りも大きくすることでしょう。

心の準備がないと、それこそ突然の波に飲まれてしまったり、実力以上の好調に我を忘れ、想像を超えた不調に茫然自失となってしまいうかもしれません。準備ができていても足元をすくわれない保証はありません。冷静さを欠けば欠くほど負担が増し、通常と違う水圧に苦しむことでしょう。好調な波であってもそれが過ぎ去った後の落差は、時として残酷なものです。「波に乗る」とはよく言ったものですが、波のタイミング、方向、強さを事前に知っておくことは、よりよく生きるために大切なことではないかと思っています。

なぜこんなことを突然言い出したかというと(しかも、また連載を中断して
^^;)、最近、ごくごく親しい身の回りの人が大きな問題に直面し、私まで一緒に考えあぐねているうちに、ついつい低空飛行になりがちでした。そして、先日、ふと気が付いたのです。
彼ら全員が「戌年」であることに! 
年齢も、性別も、国籍も、抱えている問題も、住んでいる国も違う彼らが、みな今年の干支である「犬」だったのです。気がついた瞬間、鳥肌が立ちました。

「そうか、年男と年女だったのね!」
と思い当たった時、問題の原因の一部を垣間見たようでホッとすると同時に、問題の根深さも悟りました。香港に住んでいる時、慕っていた風水師に会い、話を聞く機会がありました。私が占い師など過去や未来を言い当てる人に会ったのは、今のところ後にも先にも彼だけです。その時、
「干支は12年で完結するため最後の年に当たる自分の干支の年は『試練の年』」
という一説を教わりました。

12年目の試練を乗り越えてこそ、次の一段高い12年が開けるというのです。乗り越えられなくても新しい年は巡ってきますが一段上に上がれなかった分、過去から引きずっているものや、目先の問題が立ちはだかってくる日々になるそうです。宿題でも、借金の返済でも、片付けでも、仕事でも、果たすべき責任でも、やるべきことを先送りするツケは必ず大きくなって返ってくるのは誰もが経験することでしょう。それらは決して時が解決しない、誰も肩代わりのできない自身の問題なのです。

ここで、私自身の「12年目の試練」を振り返ってみます。
12歳:早生まれなので中学1年生。目的のない団体行動を何よりも苦手とする私は、女友達のグループ化、それへの所属という圧力に悩まされ、人間関係では人生で最悪の年。
24歳:大好きだった台湾を離れ、「他の世界を知りたい」という漠然とした理由で渡仏。目的意識が希薄な中、アジアが恋しく、独り淋しいパリ生活。
36歳:今までの人生で最大の試練を迎えた年。人にお金を貸したことから妙な金銭問題に引きずりこまれ、裁判を起こすつもりで胃痛と闘いながら準備をしていた日々。

どれもはっきりと記憶に残る年でした。しかし、悩み苦しみながらもいろいろなことを試し、自分なりに努力してみたつもりです。私はどんな時でも明日を、幸せを信じる質なので、今の不幸を少しでも早く過去にするためには前へ前へと進むしかありません。人に愚痴っている暇があるなら、その間に黙って動くタイプです。幸い夫も似たタイプで、36歳の時は2人で一致団結し、困難な時期を乗り切りました。どれも最後には顕著な結果が表れ、それらは今でも私の人生の大きな指標となっています。

(12歳、24歳、36歳をすべて違う国で過ごしました。何度も弁護士のところに通った香港での36歳。48歳は間違いなくニュージーランドでしょう→)

渦中にあったその時々では、抜け出すのに必死で物事の因果に気付いていたわけではありません。問題が過去になった時に心から安堵しつつ、試練を乗り越えたことで生き方の選択肢が広がったことを自覚しました。結果がどうなったかは次回に譲るとして、今は身の回りの大切な人達が必死で試練に取り組み、乗り越え、新たな12年への切符を手に入れてくれるよう、心から祈っています。同時に4年後には私も再び年女となり、テストを受けることを今から覚悟しているところです。(つづく)

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「マヨネーズ」

昨日、オーストラリアで開催された「メルボルン・カップ」で、岩田康誠旗手の乗る「デルタブルース」(菊花賞馬だそうです)が見事優勝しました。こちらでは意外なヒーローの誕生に大騒ぎ。2着も日本の馬でした。競馬にはまったく縁のない私は、
「遠路はるばる連れて来られる馬はさぞや大変だろうな〜」
と、興味はついそちらの方へ。

西蘭みこと