「西蘭花通信」Vol.0407  NZ・生活編 〜西蘭家の2年〜          2006年7月24日

ニュージーランドに移住して今日で丸2年になりました。2年前の23日の夜行便で通算14年暮らした香港を後にし、24日の朝こちらへ。人影がまばらな地方空港のようなオークランド空港の様子が今でも目に浮かびます。
「あぁ、ここで一生生きていくんだな。」
と思うと、今までの放浪人生に旅の疲れも加わってか、ただただホッとしたものです。あれから2年経ちました。2年目の1年を記録に残しておきましょう。 (移住初日の様子はコチラから)

【マイホーム】 ほぼ1年前に思いがけず永住権が取得でき、その直後から始めた家探し。タイミングとしてはバブルの絶頂期を突破した直後、株のチャートで言えば長い上ヒゲとなるであろう吹き値の最悪期でした。(何のことだかわからない方、ごめんなさい)

それでも「勉強も兼ねて・・・」と、延べ半年で60軒以上の物件を見、最終的に不動産市況が陰り始めた5月に契約、今月に引越しました。これからいろいろ手を入れ、NZに来てからすっかり魅せられてしまった古い木の家を末永く愛していこうと思っています。 「移住したら自分の部屋を!」 と言っていた子どもとの約束も果たせてホッ。
  (眺めのいい家で夕暮れは思わずぼ〜っと´ー`;→)

【仕事】 「本当にやってみたい、長く続けられることをやろう」と慎重に慎重を期して始めた在宅業も、2年目に入りました。相変わらず「やりたいこと」が最優先で、「安定」も「金銭」も二の次になっています(笑) その分、"持久&自給"の生活力がつき、
「その日暮らしでもけっこう暮らしていけるじゃない!」
という手応えを支えに、ますます「やりたいこと」に特化しています。今後はここではよくある既存のビジネスを買いとっての事業拡張(と言っても小さぁーいもんですが
^^;)など、将来に向けて次の一手を考えることになりそうです。

【子ども】 温は中学2年生(日本では中1)、善は小学5年生(同小4)となり、兄弟の会話もとうとう100%英語になってしまいました。香港ではイギリス系インターナショナル・スクールに通っていたので、温などナンチャッテながらもクイーンズ・イングリッシュだったのですが、そんなものはどこへやら。今やバリバリのキウイ・イングリッシュです´。`A 善は日本語に苦労しており、温はアイランダー訛りをクールだと思っている節さえあり、ローカル英語まっしぐら。

1年前「子育ては12歳まで」と温の成長に期待していましたが、1年経ってその変わりようは驚くほどです。時には「別人?」と思うほど、親の知らない面を見せたかと思えば小さい頃を髣髴とさせるような懐かしい面を見せたりと、自我の確立という大胆な細胞分裂を、リアルタイムで見せられている毎日です。本人は学区外の高校への進学を希望しており希望通りいくよう祈っていますが、何せ受験ではなく"クジ引き"なので(笑)、どうなることか。

【生活】 子どもと多動派・夫のおかげで、お付き合いはそこそこ広がりました。そうは言っても出会いの数よりもご縁重視の家なので、暮らしぶりはひっそりとしたものです(笑) "出会い"一辺倒だった1年目に比べ、帰国など誰かを見送る"別れ"も経験することになった2年目。身近な人の生と死にも直面し、移住という"非日常"が日を追うごとにただの"日常"に変わっていくのを実感しました。この勢いだと心がけ次第では、日常に埋没していくのも簡単です。ジョギングを始めたことは大きな変化でした。 これからも長く続けられる価値あることを少しでも多く見つけていきたいと思います。

【家事】 正直な話、ここでの暮らしに対し、起業と永住権の問題以外、ほとんど不安はありませんでした。夫婦とも20年近く海外を渡り歩いて来た身、「NZだから」と身構える理由は特に見当たりませんでした。しかし、私にとって家事だけは大きなチャレンジでした。有能なお手伝いさんとの9年間の上げ膳据え膳暮らしに別れを告げ、自分が家族に上げ膳据え膳で仕えるというのですから、転職どころの話ではありません。 (お手伝いさんと当時の暮らしについてはコチラコチラから) それでも時間と経験を味方につけ、1年目の「闘う家事」から2年目は「創造の家事」へと多少なりとも楽しむ余裕が出てきました。
「家事業と主婦業はまったく別物」
ということも実感し、これからますます家事を研鑽していこうと思います。

【今後】 「今後の最大目標は、ずばり"現地社会に根を張る"ことです」と半年前に掲げた目標は、かなり達成されつつあります――
1年前に書きましたが、 当時は知り合いを増やし交流を深めるだけで"根を張っている"と満足でした。しかし、2年経った今、それではまったく足らないと感じています。何かの活動、仕事でもボランティアでも学習でも―― 目標を同じくする仲間と切磋琢磨しながら何かを成し遂げていきたいという強い希望があります。それが何なのか、どんな仲間なのかは今の段階ではわかりませんが、願わくはこれからの1年で何かがつかめれば、と思います。もちろん、ここで暮らせる感謝と感動、与えられた時間のありがたみは増しこそすれ薄れることはありません。これからも大切な時間を丁寧に生きてみます。続きは1年後に。

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「マヨネーズ」
1年前は移住前からの友人を招いてささやかな1周年のお祝いをしていました。今年は引越しでそんな余裕もないまま、段ボール箱のある家で家族だけで2周年を迎えました。これも後になればいい思い出でしょう。

起業、永住権、マイホームと、移住の礎は揃いました。これからはこの上に立って、永く続く磐石な生活をどう築いていくかをじっくり練る時期のようです。キーボードを叩いての書くことも含め、無性に手仕事がしたくてたまりません。この家にも、家族にも、私にとっても良いこととなるような、創造のある暮らしを探っていこうと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

西蘭みこと