「西蘭花通信」Vol.0402  NZ・生活編 〜二都物語 スタジアム編〜     2006年6月30日

飛び飛びになっていて大変申し訳ない今回の「二都物語」、これまでの話は下のリンクからどうぞ。
「二都物語 ウェリントン編」
「二都物語 ホスピタリティー編」

「二都物語 ホームシック編」
 
「二都物語 コスプレ編」


今年2月に7人制ラグビーの国際大会「ウェリントン・セブンス」に出かけた私たちは、いよいよ大会初日を迎えました。周りの老若男女のなりきりコスプレに大笑いしながら、スタジアムへ。私たちのようなオールブラックスのサポータージャージを着た"地味系"は、どう見ても少数派でした。息子たちはさっそく、ビール会社が配っていた黄色と青のアフロヘアーのウィグをもらってきてかぶり始めました。子どもながらに周囲の空気を読んだのでしょう(笑)

「ケーキティン(ケーキ型)」というあだ名のある「ウェストパック・スタジアム」は本当に真ん丸でした。
「これじゃ、どの辺が"サウス・スタンド"かわかんないね。」
私は夫の言葉にうなずきながら、派手派手のコスプレがスタジアム中に散らばっているのを物珍しく眺めていました。

"サウス・スタンド"とは、同じく7人制ラグビーの国際大会「香港セブンス」の会場となる「香港スタジアム」の南側スタンドのことで、ズバ抜けた単位面積当たりビール消費量+コスプレで、それはそれは盛り上がる場所です。朝からビキニでイケイケのおネエさんもいれば、網タイツに黒いブラジャーのムキムキのお二イさもいます。いわば"18禁スタンド"で、かなりの無礼講が許される代わりに、他のスタンドからは隔離され、出入り口やトイレも別々で、他の観客との接点がないように配慮されている場所です。毎年ストリーキングが飛び出してくるのも、必ずと言っていいほどそこからでした。

当然ながら家族連れでそこに座ろうとする人はおらず、子連れは自然とアルコール厳禁の3階席に集まってくるものでした。私たちも3階席の常連で、安全圏から灼熱の盛り上がりを見せるサウス・スタンドを眺めては楽しんでいました。飲んでよし、騒いでよし、1日中総立ちの彼らに比べ、3階席はコーヒーやコーラを片手に、真剣にゲームを楽しむ人がほとんどで、トライシーン以外で立ち上がりでもすれば、すぐに後から"Sit down(座れ!)"という罵声とともに、空の紙コップが飛んでくるのがおちでした。

「ここじゃ、スタジアム中がサウス・スタンドね。」
私の返答には、2日間の盛り上がりへの確信がこめられていました。レモンイエローの座席をカラフルな一群が思い思いに埋め、本当にサウス・スタンドが薄く広く広がったようでした。あの盛り上がりが球場全体に広がるのだったら、お楽しみは保証されたようなもの―― 
「なるほど。"イベント・ピープル"となると違うわね。」
と思いつつ、私たちは家族連れ専用の"ファミリー・スタンド"に落ち着きました。      
(球場全体が総立ちの“サウス・スタンド”状態→)

ニュージーランドのラグビー場には家族連れ優先席であるファミリー・スタンドがあり、どこもグラウンドのすぐ脇、選手たちの顔まではっきりわかる場所です。試合の後、子どもたちがフェンスに鈴なりになってサインや握手をねだる場所でもあります。この席の存在を知った時は、
「さすが、子どもへの配慮がきめ細かい国!」
と感激しました。値段の割に素晴らしい席で、
「一流の試合をこんなに間近に見て育つ子どもたちは幸せだよ。」
と、子どもラグビーのコーチをしている夫は常々そう言い、ファミリー・スタンドの存在を高く評価していました。

今回の私たちの席ももちろんファミリー・スタンドで、通路を挟んだすぐ反対側が選手専用席という最高の位置でした。試合時間が短く1日何試合もこなす7人制ラグビーは待ち時間も多いため、選手たちもここに座って他国の試合を観戦するのでしょう。サインが欲しい子どもたちは色めき立っていました。周りには似たような子連れの家族が数組いましたが、香港ほど子どもの姿はありませんでした。

不思議だったのは、どう見ても子どもとは縁のなさそうな若いコスプレ集団も一緒に座っていることです。割安価格なファミリー・スタンドは子どもがいないと購入できず、若い彼らだけでは買えないはずでした。
「子連れだけで埋まらなくて、後から一般売りにも放出したのかもね。」
と夫婦で話しながら、初めての球場を物珍しく見回しつつ、モーテルで作ってきたおにぎりで(今回の旅行は炊飯器持参でした)試合が始まる前に早めのランチをとっていました。

前の家族連れもサンドイッチをパクついています。 試合開始までは間がありましたが、周囲は食事などそっちのけで、ビールやワインの小瓶を手に、真昼間からガンガン飲んでいます。試合は7時過ぎまで続くので、
「この調子で飲んでいったらスゴいことになるよね〜」
と、香港を遥かに凌ぐキウイの飲みっぷりに感心するやら呆れるやら、ニヤニヤしながらご機嫌な連中を眺めていたものです。今思えば、この瞬間が今回の旅の最も幸せな時間の最後のひと時でした。(つづく)

                   (とにかくビール。これが1日中、丸2日間続きました→)

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「マヨネーズ」
本当にスゴいインフルエンザにかかってしまいましたTT 
24時間前まで悪寒でブルブル震えていましたが、今日はさすがに峠を越えたのか昼過ぎにはベッドから抜け出し、午後いっぱい起きていました。(この辺、日記「さいらん日和」でもどうぞ)10分何かしては10分休むといった状態で体力の消耗を如実に感じましたが、「もうぶり返しはなさそう。」と思ったら、少し元気が出てきました。

皮肉なことに、こんな週こそお天気がよく、レースのカーテン越しにも青空が広がっているのがよくわかり、絶好の洗濯日和、掃除日和が続きました。今週は息子たちの学校のみならず、私立に通う子も含めクラスの半分くらいが休んでいる学校がざらだったようですが、今日で2学期が終わりこれから2週間の冬休みに入ります。さっ、本当に元気にならなくちゃ!

西蘭みこと