「西蘭花通信」Vol.0391  生活編 〜走る人体実験−お腹が空かない?!〜   2006年4月19日

「おかしい。お腹が空かない。」
変化はすぐに訪れました。2月の44歳の誕生日から始めた毎朝4〜5キロのジョギング。走り始めて早々、あまり空腹を感じなくなってきたことに気づきました。

(「我々に猫を」というナンバープレートをつけたクラッシックなジャガー。こんなクルマを目にするのもジョギングの楽しみ。ニュージーランドでは好きなナンバープレートを買うことができます→)

「急に運動して食欲が落ちたのかしら?」
と、最もな理由を考えてみたりもしましたが、どうもそうではないようです。しばらく続けてからだが慣れてきても、空腹感がないのは同じでした。それは食欲減退というネガティブな感じではなく、空腹にならない、なにかで満たされている――といったポジティブな感じでした。

これまでも述べてきたように、ジョギングを再開した目的に減量は入っていません。そればかりか、実験の一番の課題に体脂肪を落とし、筋肉や骨量を増やすことを選んだくらいなので、食事制限へのプレッシャーはまったくありませんでした。
「筋肉や骨のためにも食べたいものを欲しいだけ食べてみよう。」
とすら思っていました。それは二番目の課題でもありました。

実験その2:「からだが求めるものだけを、欲しいだけ食べてみよう」。
体力を消耗した時、「からだが何を欲するのか」に興味がありました。それこそが「からだの声を聞く」ことになると思ったからです。 (この連載の発端となったメルマガ「からだの声を聞け」はコチラから)

食事内容の変化を見てみましょう。
ジョギング開始前は、朝食にチーズとトースト2枚(サンドイッチ用パンをやや厚くした程度のニュージーランドでは標準的な薄さのもの)にコーヒー、果物を摂っていました。昼食は具だくさんの麺か韓国風雑炊、サンドイッチ(パンにして4枚。中身は野菜とチーズ中心)など、炭水化物を中心に野菜や魚類を。夜は白米3:玄米1のご飯をお茶碗半分、野菜と魚中心の惣菜を数品。週5日は実だくさんのスープがあり、味噌汁を飲むのは週2日ほど。ボリュームで考えると、昼>夜>朝の順でした。

間食は元々あまりする方ではなく、甘いものもあれば食べる程度。なくても全然困りません。甘いケーキは全般パス。頂き物を口にする程度です。自分で焼くのはシンプルなパウンドケーキ、クッキー、パイくらい。スナック菓子も子どものを横から摘む程度。午後にもう1回コーヒーを飲み、間に紅茶・日本茶を何回か飲みます。ただし、果物は大好きで、りんごなど1日3、4個食べることも。洋ナシ、りんご、バナナ、オレンジ、ぶどうなど常に買い置きを切らさず、食事以外で何かを口にする時はたいがい果物でした。

これがジョギング再開後、どうなったでしょう? 
朝食は最初、チーズとトースト1枚と量が半減しました。本当にそれでお腹がいっぱいになり、果物も摂ったり摂らなかったり。その分、昼は1日で一番しっかり摂る食事として、今まで通りでした。夜は早々に私だけ玄米100%になり、ますます白米を食べたいと思わなくなりました。惣菜の量が若干減り、スープの量が増え、トータルの摂取量の変化はごくわずかでした。

それが2ヶ月目に入り、再び変わってきました。朝食をシリアル中心に切り替え、ドライフルーツ、ナッツ、麦、マヌカハニー、ミルクも加え、かなりボリュームを持たせました。これにチーズトースト1枚や果物も摂るので、量的にはジョギング前より多くなりました。これは空腹のためというよりも、無性に「歯ごたえのある物」を食べたくなってきた結果で、夕食の玄米化も同じ理由です。とにかく、硬くて何度もしっかり噛むような物が食べたくて仕方ないのです。量は多くても、やはりシリアル、軽い繊維質でお腹が重くならず、今のところ一番気に入っている朝食です。

その分、昼食の量が半減しました。麺でも雑炊でも使うボールがグッと小さくなり、量で言えば80グラムぐらいでしょうか。「ざるそば一枚で十分」という量です。夫も食べるので今まで同様に具だくさんですが、肉類が一層欲しくなくなり、白身魚やすり身加工品を使うことがさらに増えました。夜は私だけ玄米で、味も歯ごたえも楽しんでいます。量的には元々少なかったのがもう一段減った感じで、日によっては「抜いてもいいかな?」というのが正直なところですが、一家団欒の時でもあり量は少なくても、必ず摂るようにしています。この結果、ボリュームでは、朝>昼>夜と順位がガラリと変わりました。

いくら朝食を増やしたといっても、全体的な量はかなり減りました。本当にからだの欲するところでいけば、1日2食で十分かもしれません。果物の摂取量は一段と増えましたが、少なくなった食事を補うほどではありません。間食も減り、毎朝ハチミツを摂るようになり自然な甘味に慣れ親しんでいるうち、人口的な甘味のついたスーパーで買ってくるような菓子類にはほとんど手を出さなくなりました。コーヒー、お茶、ワインなどの嗜好品には変化がありませんが、かつてはあまり飲まなかった水をよく飲むようになりました。

「こんな量、こんな偏食で大丈夫?もっとバランス良く食べなきゃ。女性は鉄分も需要だし、肉類も食べないと・・・」
と、最もな意見が聞こえてきそうですね(笑) 私もそう思った時期もありましたが、自分のからだでの実験、誰に迷惑をかけるものでもなし、どこまで「からだの声を聞く」ことができるのか興味もあり、いまだに続けています。我慢することなく、過不足なく食べている結果なので、それはそれで尊重してみようと思います。この食事量で体重57キロを維持しているのには自分でもちょっと驚きですが、体調はすこぶるよく、走っても疲れよりも爽快感の方がはるかに上回っています。食事をしなくても満たされる――次回はこのからくりをお話しましょう。(つづく)


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「マヨネーズ」
これは私だけのメニューで、夫と子どもは大好物の肉や卵、甘い物をたくさん食べています(笑)ここでのジョギング暦が2年にならんとする夫の食欲にはまったく変化が見られず、育ち盛りの子どもといいとこ勝負です。実験結果はそれぞれのようで。

西蘭みこと