Vol.0256 「生活編」 〜1500円暮らし〜

ニュージーランドで暮らし始めて3ヶ月が経ちました。生活もさすがに落ち着き、1日、1週間のルーティーンもほぼできあがり、「季節が巡っても、子どもが大きくなっても、こんな風に生活していくんだなぁ」という手応えを感じるまでになりました。ある程度の枠ができたら、それに沿って日々の生活を回し、効率重視でやっていくのが西蘭家風。この辺はどこの国で暮らしていても一緒です。

具体的には、「買い物は○曜日」、「洗濯は週○回で、○曜日にはシーツなど大きいものをまとめて洗い、アイロンは○曜日」など、ざっと家事の割り振りをします。今ではこれに、芝刈り、ガーデニング(というより草むしりと庭掃除)、カーペット掃除、玄関・ベランダ掃除など、マンション暮らしにはなかったことも加わります。もちろん従来通り、トイレ&バス掃除、靴洗い、ボタン付けなどの針仕事、ガラス拭き、子どもの習い事の送迎、洗車(夫専属ですが)など、こまごましたことは相変わらずです。

こうしたことを気分に任せてやっていると非常に非効率で、結果的に自分や仕事の時間がなくなり、気持ちにも余裕がなくなり、外出や友人との時間もままならなくなるというのが、1年半来の主婦業での実感です。そのため私の場合、家事もオフィスワークのように、ルールとスケジュールに沿って機械的にこなしていくのが性に合っています。16年にわたった勤め人生活の習性はそう簡単に改まるものではなさそうです。

すでに実行しているルールの一つに、「生活費1日20ドル(約1500円)」というのがあります。これには家族4人とネコ2匹の食費、洗剤やトイレットペーパーなどの生活必需品、ワインなどが含まれています。要はスーパーや食料品店での買い物の総額に相当します。ですから家賃、光熱・通信費、ガソリン代、被服費、レジャー・外食費、学費、新聞代、スーパー以外での買い物(家具や電化製品など)は含まれません。
(←1500円暮らしを支えるチャイニーズ・マーケット。お世話になってまーす♪)

これでいくと1週間の生活費は140ドル、約1万円になります。一部の家具を除いて芝刈り機や家電製品など必要なものはほぼ揃ってしまった今、スーパー以外で買い物をすることは極まれです。衣類や学校関連のものも、たいがいは持っているのでほとんど買ったことはありません。本は図書館で借り、花は庭から調達しています。その結果、1週間の出費が1万円とガソリン代、切手代ぐらいという週もあります。

この額がオークランドで生活している食べ盛りの子どもがいる4人家族+ペットとして多いのか少ないのか良くわかりませんが、日本人世帯としてはかなり少ない方ではないかと思っています。ただし、我慢したり意識的に節約したりしているわけでもなく、必要なものを欲しいだけ買っている結果です。しょう油、味噌、マヨネーズは日本製、パスタはイタリア製、コーヒーは必ず豆で・・・などという、従来からの好みも特に変えていません。ただし、「1日20ドル」というルールがなければ、「ワインをもう一本」「安いからもう一個」という具合に、必ずしも必要ないものまで買ってしまうかもしれず、目安があることは大いに役立っています。

ルールという足かせがあるからこそ楽しめる場合もあります。1回の買い物を店ごとにどう配分するかなどは、もうゲーム感覚! 「今日はチャイニーズ・マーケットで30ドル、スーパーで60ドル、魚屋で30ドル使って、仕上がり120ドル!」と決めた場合、誤差が10ドル(750円)ぐらい生じても、ほぼ週間予算の140ドルで収まります。「欲しかったマグロがなかった」「パイ生地が安かった」など、行ってみて予定が変わることも多々あります。最近では特に計算しているわけでもないのに、金額の誤差が各店で10ドル以内になるまで感覚がつかめてきました。

1500円と言えば、香港で働いていた時の1回のランチ代です。あの頃は「100香港ドルのランチにサービス料金10%がかかって、ちょうど1500円」というのが標準的なランチでした。寿司屋によっては「○曜日は福岡便、○曜日は東京便で築地からネタが入る日」など細かい情報までわかっていたので、時間を惜しんでは同僚とタクシーで乗り付けたりしていました。その1回の寿司ランチが今では家族4人と2匹の1日の生活費なのですから、変われば変わるものです。

私はその時々で、どちらの生活も愛してきました。しかし、今となっては以前の暮らしを懐かしみこそすれ、戻りたいとは思いません。時間があることの贅沢さを満喫しながら、手仕事を楽しみつつ、慎ましくささやかに生きていきたいのですから、今の生活こそ理想のものです。カネと引き換えにはできません。骨付き肉でダシを取り、軍手をして雑草を抜き、1日1500円で暮らしながら、仕事がある日は仕事をし、雨が降れば本を読み、アンティーク・ショップで気に入ったものを見つけたらためらわずに手に入れる――40代でやっと手にした、暮らしです。

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「マヨネーズ」 時間があれば家事全般を項目ごとにエクセルに落とし、「所要時間」「組み合わせによるシナジー効果」「モチベーション持続時間」などを基に、天気、草の伸び具合、部屋の汚れ具合、冷蔵庫が空になるスピードに合わせ、1ヶ月単位の「これぞ(計画通りなら)最強!」という家事企画書を作成したいところ。今のところそんな時間もなく、とりあえず机上の空論のまま手探りで場当たり的にやっていますが、いつかできたら公開しますね。実施後の分析、自己評価、改善策、強化案なども、元サラリーママのお楽しみ♪

西蘭みこと